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シーケンシャルツインターボの制御

2002年1月1日アップ 2005年5月20日 更新

 

実際のタービンの写真はこちらをご覧ください

ロータリーはタービンと相性が良いと言われますが,それは4000回転以上の領域での話.MAZDAの開発陣は低回転から高回転までカバーするターボシステムとしてシーケンシャルツインターボシステムに飛びついてしまいました,それはトラブルも多く,エンジンをもう一台搭載するくらい高価なシステムでした.

結果としてFD3Sの車両価格を押し上げる一因にもなり,また多くのディーラーでは その複雑さ故 このシステムの故障に対応できないケース多々見られ RX−7ユーザーのディーラー不信に輪をかけることになりました.

 

シングルターボ

低回転域は プライマリータービンで過給されます。

セカンダリーの排気タービンに通じる排気経路はターボコントロールバルブで閉鎖されています。

過給圧の制御はターボ・プリ・コントロールバルブがアクチュエーターで開閉を繰り返す事で行われています。

エンジン回転が上がっていくとブーストも上がっていくのでターボ・プリ・コントロールバルブを開けて排気を逃がす必要があります。

次第にターボ・プリ・コントロールバルブの開いている時間が長くなり そこを通過した排気ガスはセカンダリーの排気タービンを通過してフロントパイプへ流れます。(セカンダリーもゆっくり回転しているわけです。)

移行時

シングルからツインへの切り替え時 0.5秒間だけセカンダリータービンの予回転が行われます。

 

この頃になるとターボ・プリ・コントロールバルブはほぼ全開になっており それなりにセカンダリータービンは回転しています。

チャージコントロールバルブはまだ閉じられているのでセカンダリータービンの過給気はエンジンには流れず チャージリリーフバルブを通過してエアクリーナーに放出され再循環しています。


エギゾーストマニホールドにあるターボコントロールバルブが開かれて 本格的にセカンダリーの排気タービンにも排気ガスが流れ始めます。セカンダリータービンは無負荷で排気ガスで駆動されるので 急激に回転を増します。このままではタービンは過回転で破損してしまいますが、0.5秒後にチャージコントロールバルブが開かれてセカンダリーの過給気がエンジンに供給され始めます。またチャージリリーフバルブは閉じられエアクリーナーへのセカンダリーの過給気の放出は止められます。

余談ですが この0.5秒間及びタイミングはPower-FCで簡単に変更できます(要専用ソフト)。純正書き換えECUでも多分変更できます。

ツインターボ

 

過給の制御はプライマリー側にあるウエストゲートバルブが開閉を繰り返して行われます。

ターボコントロールバルブ

排気ガスの流れを制御しています。プライマリー領域では セカンダリーのタービンに排気ガスが当たらないようにアクチュエーター内部のバネの力で閉じられています。セカンダリー領域ではアクチュエーターにプライマリーの過給圧とインマニの負圧がかかり バブルが開かれ セカンダリータービンに排気ガスが本格的に導かれます。

動作の切り替えタイミングは 全開加速時で約4500回転です。
バルブはエキマニに組み込まれています。アクチュエーターは大型でエキマニのフロント側についています。

チャージリリーフバルブ

プライマリータービンの過給圧制御を行います。またセカンダリータービンの予備回転時に発生する過給圧をエアクリーナーに戻します。

全開加速では約3000回転以下で開いています。5000回転以上ではチャージリリーフバルブは閉じられセカンダリータービンの過給気の放出は止まります。

チャージコントロールバルブ

シングルからツインへの過給切り替えを制御しています。

プライマリー領域では アクチュエーターのA室に負圧・B室にはプライマリータービンの過給圧がかかっておりロッドは引かれた状態でバルブは閉じられています。プライマリータービンが立ち上がるとB室にプライマリータービンの過給圧がかかります。このときはまだセカンダリーの過給気はチャージリリーフバルブを通ってエアクリーナーに放出されています。

A室とB室の圧力が等しくなるとアクチュエーターのバネの力でチャージコントロールバルブが開かれます。

バルブの開閉のタイミングは全開加速時で約4500回転です。
バルブの位置はセカンダリーの圧縮タービンの出口でプライマリー・セカンダリーの過給気通路が合流する手前です。アクチュエーターはちょうどチャージリリーフバルブの下にあります。

ウエストゲートバルブ

プライマリータービンの前側に2つ並んでいるアクチュエーターのうち 上側のアクチュエーターで駆動されます。プライマリータービン領域では全閉ですが セカンダリー領域ではディーティー制御されブースト圧を制御します。
アクチュエーターの外見はターボプリコントロールのアクチュエーターと同じです。

バルブはタービンのプライマリー側にあります.

ターボ・プリ・コントロールバルブ

プライマリータービン領域ではディーティー制御されブースト圧を制御します。セカンダリー領域では 全開で固定されます。
プライマリータービンの前側に2つ同じ形状のアクチュエーターがありますが そののうち下側のアクチュエーターで駆動されます。エアクリーナーを除去しないとアクチュエーターは見えません。
バルブはタービンのセカンダリー側にあります.
ソレノイドはエンジン上面中央プレッシャーチャンバーの下側に2つ横に並んでいる内の運転席側です。
ECU4V(青黄)を短絡するとソレノイドから作動音がします。

ブローオフバルブ

バルブは茶色のプラスチック製でエンジンルーム運転席側に2つ同じようなものが並んでいますが その手前側です。外見はチャージリリーフバルブに似ています。

アクセルオフ時に スロットルバルブが閉じられ行き場の無くなった過給気をエアクリーナーに戻します。
アクチュエーターやソレノイドはありません。プライマリー領域もセカンダリー領域も動作は同じです。

エアコントロールバルブ

タービンの動作には関与しません。2次エアーの循環に関与します。バルブはターボコントロールのソレノイドの後ろ側に位置します。ソレノイドはインテークマニホールドの下側にあり青色です。その前にある灰色のソレノイドはポートエアーコントロールのソレノイドで同じく2次エアーの循環に関与しています。