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FD3S;常時ツインターボ加工

色々あってタービン探しに疲れたというのも少しあったけど やっぱり社外タービンだと抜けが良くなるので アイドリングの排気音が五月蝿いんですよね。結局、常時ツインにすることにしました。別段珍しくないし 取りたてて書くほどのことでもないとは思うのですが、他に詳しく書いたサイトが無いので 記載しておきます。

その前にFD3Sの純正タービンの制御機構について下記ページをご覧ください。

シーケンシャルツインターボの制御 ←clickしてください(別窓)

 

初めて見た人は 理解に苦しむシステムです.奇天烈なシステムで JZS147-アリスト, JZA80-スープラ, BD、BG、BE、BH-レガシーなどにも同様のシステムが搭載されましたが,FD3Sと同様に酷評されて姿を消しています.一番評判が悪いのがレガシーで,常時ツインターボに改造された方のwebは相当沢山あります.常時ツインにして"燃費がよくなった。低速トルクが増した.高回転も良い。排気音もよくなった”と なんともメーカー開発陣にとって気の毒なインプレが沢山あります。逆にスープラ・アリストの常時ツインをされた方は非常に少なく,一部のショップでのみなされているようです.

さあ ノーマルFDのシステムを見ていきましょう
まずは排気系,


純正のエキマニ エンジン側

特に悩むことはありませんね。排気ポートが2つあるのでエキマニ側も同じ形状です。 鋳物で丈夫ではありますが クラックが入ることが多いです.日立金属が製造しています.耐熱金属で製造されるハーキュナイトシリーズ(合金の商品名)の1つです.通称はニレジスト合金と呼ばれますが,炭素の含有量やシリカの添加などでマルテンサイト系とかオーステナイト系とか色々分類があって詳細は専門外なので良く知りません.鉄にクロムなどを添加したステンレス鋼の一種とお考えください.

マフラーなどに広く使われているSUS304というのは,オーステナイト系ステンレス鋼で 鉄をベースに18%のクロムと8%のニッケルを加えたものです.ニッケルが入っている分 SUS430等を比較すると割高です.

ちなみにタービンブレードやかの787Bの排気管に使われているインコネルという耐熱合金は ニッケルをベースに15%前後のクロム,7%前後の鉄などを添加したもので ベースがニッケル故に かなり高価な材質です.インコネルにもインコネル600とか718など色々種類がありますが詳細は存じ上げません.

 


純正エキマニ タービン側

左側がセカンダリー側で,中に見える大きなスイングバルブがターボコントロールバルブです.右側がプライマリー側です.

真ん中の穴はターボ・プリ・コントロールバルブにつながる排気通路です.ターボ・プリ・コントロールバルブはタービン側にあります.



タービンのエンジン側

排気通路が3つあり,前側からセカンダリー用,ターボ・プリ・コントロールバルブ用,プライマリー用となります.左右のパイプはタービンの冷却と潤滑に使用されるオイルラインです.


ターボプリコントロールバルブが見えます


こんな感じのわずかなクラックが発生していることがありますので,よく注意する必要があります.

 


フロントパイプ側

右が前側(セカンダリータービン)になります.プライマリータービンは後側(写真左)に位置します。セカンダリーのほうが大きなタービンが装着されていると勘違いされている方もいますが,タービンの容量は同じです.しかし実際排気系の形状の違いから,左右のタービンで供給される風流は実際は同じではありません.

ちなみにユーノスコスモはセカンダリーとプライマリーでコンプレッサーの形状が異なります.

前側に2つあるアクチュエーターのうち 上側がウエストゲートバルブ用、下側がターボ・プリ・コントロールバルブ用です

ターボ・プリ・コントロールバルブはセカンダリータービンへの排気通路にあり、ウエストゲートバルブはプライマリータービンへの排気通路ににあります。

真ん中の穴にフロントパイプが接合されます。


別のタービンだけど 遮熱板やオイルラインを外すとこんな感じです.
このタービンはスーパー耐久で使用されたタービンです.


排気系が終わったところで 今度は吸気系です.


2つのタービンからの加給気が合流する部分です.1型−3型は写真のようにインタークーラーへのパイプの接続はゴムパイプになりますが,抜けてしまうトラブルが多かったために4型からはガスケットを介したフランジ式に変更されています.
途中にあるバルブがチャージコントロールバルブです.


常時ツインターボへの変更のメリット

常時ツインターボへの変更のメリットを簡単に書くと

1.トラブルの減少
2.素直なトルク・パワー特性
   がメリットです.

トラブルについてですが,複雑なシステム故にトラブルが非常に多いことは言うまでもありません.私自身そういったトラブルに時間を費やすのは嫌ですし,MAZDAの管理システムを信頼していないというものあります.

トルク・パワー特性ですが,ノーマルのシーケンシャルの状態でもECUのセッティングしだいで かなり素直なパワー特性になりますが,やっぱり完全にはクセは消えません.下のパワー測定をご覧ください.

このときは 

前置きインタークーラー
純正タービン
ノーマルエンジン(シーケンシャル動作)
触媒ストレート
APEX N-1 DUALマフラー
APEX Power-FC
RE雨宮エアクリーナー  

・・・・という仕様でしたが シーケンシャルタービンの段つきがあまり目立たないようになっています.この程度は出来るのですが 乗ってみるとやっぱりシーケンシャルの切り替えは露骨にわかります.シャシ台でもツイン領域になったとたんタイヤがスリップしていますし・・・.

常時ツインにしてしまうと,インターセプトポイントは4000回転手前になりますが,運転してみてそう不都合はありません.常時ツインには否定的なショップもありますが 私は実際にショップの製作した常時ツインFDを運転させていただいて これもアリかな?と思ってやってみることにしました.

しかしスポーツ走行をしない方々には インターセプトポイントが低い純正シーケンシャルの方が乗りやすいと思います


常時ツインターボへの作業点


まず エキマニですが, ターボコントロールバルブを開放状態で固定します.私は上の写真のように除去しました.開放状態で溶接するとか針金で固定するという方法もありますが,少しでも一次排圧を下げたいので除去しました.

またエキマニなどは 熱で歪んでいますので,なるべく上の写真のように研磨して平面を出して装着された方がいいです.


タービン側もいろいろ加工をしてもらいました.詳細は書けませんので想像にお任せします.この加工で中速域のトルクが変わるそうです.加工料金が必要になりますが,この加工をしないと かったるい常時ツインになってしまうそうなのでお願いしました.

タービン前側のアクチュエーター2つのうち、ターボ・プリ・コントロールバルブ用は除去しました。ターボ・プリ・コントロールバルブ自体も除去しました。

 

あとは吸気側のチャージコントロールバルブを開放で固定(これも除去してしまいました.)して,チャージリリーフバルブを閉鎖で固定すれば終了です.

あとはECUのリセッティングだけですね.


 

2005年5月 エンジンの慣らしが終わりセッティングしました。諸事情あって純正触媒+車検対応マフラーという環境です。排気の抜けが悪いためかブーストも立ち上がりが悪いです。なんかNAみたい。ピークパワー時にはそれなりの加速になるのですが ブースト0.9とか1.0にセットすると、高回転域でブーストがドロップしてきます。もちろん4000回転以下はかなり遅くなります。下はブーストかからないし上は詰まるし・・・・ということで 常時ツインターボ+純正触媒というのはイマイチですね。期待したプチシングルターボみたいな感じじゃないです。

以前常時ツインターボ+触媒ストレートという車に乗せてもらったときは それなりに楽しい車でしたがねえ・・・。しかし以前のTN60-1シングルターボを比較すると約90馬力のダウンだそうです。物足りないのも無理ない話かも。


2005年7月 ブーストの立ち上がりが悪い件ですが、マイナートラブルがありそれを手直ししたら劇的に良くなりました。これだと触媒ストレートは必要なさそうです。

2速-3速の加速では2000回転で陽圧(正圧)方向に針が動き始めます。3000回転でブースト0.5くらい。フルブーストになるのは400-4500くらいでしょうか。2000回転あればアクセルによく反応して加速するので、私は不満ないですね。

 
その後、シングルタービンにもどしました。(IHI-RHC7タービン)