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KENWOOD A-1001

最終更新日  2006年4月25日

 

なんだか未来を感じさせる品番です。本来ミニコンポ用のアンプですが、最近このクラスのアンプが意外と侮れない作りをしていますので入手。1993年ごろの製品で価格は6万円らしいです。

外形寸法(幅×高さ×奥行):270mm×135mm×335mm
重さは7キロ程度

入力:CD,TUNER,TAPE,MD/DAT,AUX アダプター、
スーパーウーハ−の接続も可能。

本来ならリモコンも付属しています。CDはダイレクト入力ボタンあり。珍しいところでは、40HZから80HZまで周波数を可変して増強できる機能があります。(ブーストする周波数を無段階に選択できる)

まずこのミニコンポ(ハイコンポと呼ぶ人もいるが・・・)はKSシリーズと呼ばれ、最初にスピーカーの概要が決定されました。スピーカーはLS-1001という品番で、振動板から新規設計したスピーカーで、複雑な行程で作られるMDF製のバッフルを持っています。スピーカーの概要が決定した後にそれを鳴らしきるアンプとして本機の設計がスタートしました。思い切って機能を簡略化してそのコストを音質の向上に投入するのが基本ポリシーとされました。

電源トランスは数十個に及ぶ試作品がテストされ、手作りに近い工程で生産される下記トロイダルトランスが採用されました。肉厚のフロントパネルや剛性の高いシャシーの採用も音質重視の結果である。CDプレーヤーはDP-1001という品番で、スピーカー・CDで性能を追い込んだ結果、予想したよりかなり高音質をCDにも求められることとなり、最終段階で大胆な決断を余儀なくされた。それは心臓部のDACにフィリップスのDAC7を採用することで、それによりKSの聴感上のS/N比の向上に大きく貢献した。またKENWOODの最上位機種CDであるL-D1の技術も投入された。

A-1001の開発に携わったのは、ホームオーディオ事業本部・技術部音質研究室の市村憲司氏である。同氏のコメントがオーディオアクセサリー1993年秋号に掲載されている。(以下)
音楽を聴く人が意識して緊張しながら聴くのではなく、リラックスして音楽を楽しめるアンプを目指して作りました。そのためには無駄は部分が一切なく、出来るだけシンプルなもののほうが良いのです。不要な機能は一切付いていません。その分を、音を良くするためだけに使用することが出来ましたので、純粋に必要な部分だけに関して、内容の濃いものを採用したわけです。無駄なことに一切お金を使いたくないというポリシーを貫いたので、ビス一本、部品一つとっても、すべて試聴によって決定していきました。

外観はsilver 肉厚のフロントパネルが印象的。電源ボタンは中央下。電源ボタンの左にあるのがCDダイレクトボタン。2つの大きなダイアルのうち 右がボリューム・左はセレクター。


なんとボリュームとセレクターのツマミは両方ともアルミの無垢です。
一個で53.5gあります。

 


リヤパネル スピーカー端子は一系統のみ。
このクラスを使用する人がスピーカーを2つも3つも常用する訳はないので 妥当な処置だろうが個人的には2系統欲しい。変わったところではスピーカー端子横のスーパーウーハー用の出力がある。

アダプター端子がありジャンパーが設置されている。

アダプター端子のジャンパーを外すと、CDダイレクト以外の入力は使用できなくなります。またアダプターのINから入力してもパワーアンプ的な動作にはならず、ボリュームは効きます。


入力端子は全部金メッキ



上から眺めると でかいトロイダルトランスが目立つ。


天板の取り付けはネジが10本と多い。しかもフロント側は六角レンチが必要。
天板はよくあるコの字型。防振材など使用していないので叩くと鳴る。


コストのかかるトロイダル型を選択したのはやっぱりスペースの問題?
実はこのトランス 中2階に設置してある。
シャシー自体は 1.6ミリ圧の鋼板を使用した高剛性なものである。


トランスの直径は約10センチ



電解コンデンサー ELNAのFOR AUDIO
高さ4センチ・直径3センチくらい
63V 6800μFが2本


メインのアンプ基板はコネクターで縱に設置されている。固定はコネクター部分だけ


左右対称にはなっていないが、オペアンプを一切使用せず、デュークスリートで組んである。


トランスを取り外すと その下に定電圧回路や整流回路がある。


ファイナルのトランジスター


サンケン製のLAPT素子(NM-LAPTではない) 2SA1186/2SC2837
2006年1月現在も入手できるバイポーラートランジスター


ボリューム;モータードライブつき


フロントパネルは分厚い


後方にもう一つトランスがある。役割は不明。
多分マイコン制御用の専用電源トランスであろう。


トロイダルトランスから出た2次側電流を整流するダイオード
サンケン製のRBV-602が使用されている。
6Aまで対応する製品です。


後部の入力系の基板
手前に見るオペアンプは JRC製4565DD
コンデンサーはELNA製が使用されている


底板は取り外し可能。何の変哲もない板である。


底板を外したところ
ヒートシンクはシャシーの固定部分だけで上下はFreeとなっている。
叩けば盛大に鳴く。
発熱は少ないアンプである。


トーコン・・・というか低音の増強回路


ヒートシンクはブチルゴムのtapeを張って鳴きをとめました
ついでに小細工を・・・


U-CONのメタライズドポリエステルフィルムコンデンサーを電解コンデンサーに並列に入れてみました。
<効果あるわけ無いじゃん>という方も居られるでしょう。

重々承知ですが、弄りたくなる性分なんです。


ヒートシンクの鳴き止め処理


視聴&メンテナンス中
スピーカーはパイオニア S-77 TWIN SD

音質のインプレは こちらを参照(別窓)


A-911Mの内部写真と比較してみてください。また少しサイズが小さいですが、パイオニアA-N701も侮れません。

ケンウッドやパイオニア・ビクターというメーカーは、いまひとつブランドイメージが垢抜けませんが、大変真面目に作られていて、嫌味のない製品が多いように思います。

似たデザインで、KAF-5002 KAF-7002というのがありますが、これはファイナルのトランジスタをLAPTから、同じサンケン製のTRAITRという素子に変更した継承モデルです。TRAITRはトランジスターが温度変化によって特性がぶれるのを補正する素子を、従来ヒートシンクに一緒に取り付けられていたのを、トランジスターに一緒にワンパッケージされたものです。KENWOODのホームページではTRAITRの特長として以下の点をアピールしています。

  1. 小出力時のひずみの大幅な改善や信号の最短経路化を図った結果、音楽信号の強弱に動作点がダイナミックに追従し、音像定位の明確化や音像の立体感及び芯のある低域の実現が可能になりました。
  2. 温度補償素子やエミッター抵抗などの部品の削減と、それに伴い回路設計が単純になり設計工数の低減や組立工数の低域が図れ、コストダウンが可能となりました。

ケンウッドは2006年1月現在 ピュアオーディオ用アンプから撤退していますが,AV用アンプで 上記素子を使用した製品を販売中です。ただこの素子は一般に購入できるのですが、他社製品での採用例を私は知りません。

 

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