オーディオ解体新書>サンスイ AU-α707L EXTLA
サンスイ AU-α707L EXTLA最終更新日 2010年1月14日
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LAPTとは基本的にバイポーラーのトランジスタですが、マルチエミッター化によって、オーディオ専用として必要な高域の遮断周波数を高い周波数に設定できます。通常のトランジスタが5〜20MHzの遮断周波数を、3倍以上の50-60MHzにまで大幅に改善しました。LAPT自体は本来高周波用のトランジスタで特に目新しいものではありません。AU-α707iにもLAPT素子が使用されています。本シリーズに採用されたNM-LAPTとは、純銅材の採用とボンティングワイヤーに至るまでのメッキを排除したオール非鉄化によって、LAFTを完全に非磁性体化し、電流増幅率のリニアリティとスイッチング特性を向上させ、動特性の改善を図ったものです。製造メーカーのサンケンでは生産ラインの変更まで行って、この素子を生み出しました。 このNM-LAPTの採用によって、逆に周辺パーツや機構に対して厳しい要求を突きつけ、またそれが如実に音に反映される感度のよさを持っているために、通常の回路定数を決定した後に行ったカスタムパーツのによるチューン・アップは試行錯誤の連続で多くの時間と忍耐を必要とした。また電源トランスも前モデルより、材質・構造ともに徹底的な再検討を行い、数多くの視索を繰り返した後に完結したものを搭載しています。 サンケン電子では 様々なオーディオ用トランジスタ・MOS-FETを出荷しています。KENWOODが謳っているTRAIT(TRAITR)※ もサンケン電子製です。 ※TRAIT(TRAITR) 重さは実測21キロとAU-α707iの2キロ増。 回路的にはα−Xバランス回路とニューダイヤモンド差動回路を採用、スピーカーのドライブ能力を大幅に向上させ、さらにNFBや電源回路までバランス動作とし、外来ノイズや歪の発生を抑えている。回路的にはそれほど特殊なものではなく、いわゆるBTL接続のアンプが基礎である。初段のFETはカスケード接続になっており、高域特性の改善や接続機器とのインピーダンスの整合性が高まった。内部構造においてもNM-LAPTのよさを生かすべく、非磁性体化が進められている。これらは<平成>の時代のスタートと同時に、1990年代に向けてのメッセージであった。
また左右それぞれのアンプ基板は上側と下側の基板に分割され 左右合計4枚の基板でパワーアンプは構成されている。
LAPT素子は残念ながら 大掛かりな分解をしないと見えない位置に固定されている。
CDP-555ESDやTA-F333ESRより細い。交換したいがコードが筐体に入った直後からごらんの有様なので交換作業は大変そう・・・。
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707iのバックパネル |
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詳細は避けるが、1990年代になると、他社の多くに<元サンスイ><前サンスイ>という社員が増えた。いわゆる平成不況のあおりもあるが、それ以前から同社の営業実績にはかげりがあり、合理化、人員整理が進められた結果である。その結果サンスイは顔の見えない、陰の薄いメーカーになってしまった。勿論他のメーカーにも大なり小なり同じようなことろがあったが、経営母体の貧弱な同社の場合、それが顕著に出てしまったのだろう。かつては<サンスイ>の看板を一人で背負っていたような方も流出され、自立した人も多かったと伺った。 1990年以前は チューナー・CD・アンプ・スピーカー・サラウンドプロセッサー・DAコンバーターなど多岐の製品を発売していたが、1990年以降は 次第に人的物理的資源をアンプに集約して、他の製品はしだいに整理された。 この後に AU-α707DRが1991年に発売されるが、失礼ながら もう私の記憶には残っていない。かろうじて同年10月に発売されたAU-α607MOS-PLEMIUMは覚えている。1991年以降のサンスイの製品は非常にレアで、小有している人は是非、大切にしてほしいものである。 その後紆余曲折あり、株価は急降下。香港のセミ・テックに買収され、1993年ごろには従業員は最盛期の1/10になってしまう。(従業員のピークは 1972年の2244名) 役員や株主には外国人が名を連ねたが、製品の質は最期まで落ちることは無かった。やがて国内の生産拠点も失い、アフターサービスも他社に業務を移管された。 2006年現在 会社は残っているが、一体何をしているやら不明である。一時は海外製の激安液晶Tvの輸入などをしていたようだが・・・・。
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1990年の9月と11月のステレオ誌で石田善之氏のコメントがありました。(一部要約) 1990年6月のステレオ誌では 入江順一郎氏のコメントがありました。
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