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SONY CDP-XA5ES

最終更新日  2009年1月20日

1994年 98000円で発売されたモデル


SONYのCDPがデンデン・・・と積まれて居ますが
今回紹介するのは、中段のCDPです。


TA-FA50ESなどと一緒の新デザインを採用。
前モデルのCDP-555ESJとは、全く異なるデザインです。

光ピックアップ固定方式の採用が、最も特徴的ですが、正直私にはメリットが判りません。
光ピックアップは<固定>といっても、亜鉛ダイカストにガッチリ固定されて脚と直結されているわけでもなく、指で軽く押してもグラグラ動くようなもので、とても<固定>と呼べるシロモノではありません。メリットとして敢えて挙げるとするなら、スピンドルシャフト側のメカニズムが複雑になり重量が重くなり、副産物としてクランパーやモーターやシャフトが強力になっただけ???のような気がします。また従来のピックアップ側を動かす方式では、リニアモーターという追従性の優れた駆動方式があったのですが、この方式にするにともなって、通常のギアドライブ式の駆動になっています。またサーボ電流にしても、軽いピックアップを動かすのと、重いディスク側を動かすのとでは、どちらの方がより沢山の電流が必要で、オーディオ系への悪影響が強いかは、すぐ判ることかと思います。SACD時代になったこともありますが、この光ピックアップ固定方式は、数年でその幕を閉じることになります。

一方 そのような複雑なメカを搭載する為に・・・・といっては夢も希望もありませんが、CDP-555ESJと比較すると、

  • サイドウッド
  • シャシーの銅メッキ
  • セラミック製の脚
  • ブラシレスモーターのサファイア軸受け

などが省略されています。

“カレント・パルスD/Aコンバーター”は、安定したきれいな電流源を持ち、演算回路の電圧性ノイズの影響を受けないことで、表現力豊かな低域の再現能力を持っています。また、トランスの鉄心を切れ目なく成形したことに加え、断面が円形のドーナツ状にすることで、磁束漏洩と振動を大幅に減少させ、クリーンな電流供給を実現する“Rコアトランス”を採用。


インデックスキーやサーチキーが、本体左側に配置されました。
個人的には使いにくいです。


このモデルから、このロゴが無くなりました。


サイドは、薄いアルミ製パネルで非常に傷つきやすい(柔らかい)ので、取り扱いに注意が必要。


ローティング部分の比較
下側がCDP-555ESJ。スピンドルモーターやピックアップを含めて、ドライブ部分全部がスライドします。


クランパーというか、スタビライザー。DISKとの接触面にはフェルトが貼ってある。
純正の他に、素材や仕上げの異なるオプション品が発売されていた。現在では入手困難。自作する方も居られた。


DISKをセットした様子。


内部構造。
シンプルであり、かつ充実した内容となっている。
このクラスの製品なら、やはりこの程度のパーツは投入して欲しいものである。
マランツやDENONには、価格の割りにパーツ投入に乏しい製品が結構ある。
まあ、最終的には<音>なんですけどね・・・。


天板
2枚の鋼板を張り合わせた構造で、叩いても鳴らない。
1.9キロ。6本のビスで固定。


ドライブ部分。
駆動部分は密閉されているわけではないが、
上にも下にも基盤があり、DISK部分は殆ど見えない。
なおリアパネルの光デジタル出力は、この基盤から直接配線されている。


ローム製の4チャンネルBTLドライバー(CDプレーヤー用の制御IC)


フレームで全貌が見えないが、SONYのカスタムLSI
CXD2515かな?だとしたら光学系デジタルサーボ制御を行います。


このモデルから採用されたRトランス
SU-A900などにも採用された、トロイダルトランスなみの低磁気漏洩や低振動のRトランス。
デジタル/アナログ独立でトランスを使用している。このトランスは2009年現在のソニー製オーディオ製品にも使用されている。


電源基盤
右側がデジタル系の電源回路
ニチコンのASFコンデンサーが使用されている。
左側がオーディオ系電源回路
手前の黒い大きなコンデンサーが、ELNAのFOR AUDIOで35V6800μFが2本、
奥の緑のコンデンサーがMUSEで、 63V1000μFが2本使用されている。
基盤は半透明のES基盤が使用されている。


オーディオ系の中央には、銅製のバスバーも使用されている。
以上、電源部分はCDP-555ESJより充実している。1ビットDACはしっかりした電源を準備しないと低域の表現力が悪くなるという認識が広まった為であろうか?


デジタル系回路とアナログ回路は、同じ基盤に乗っているが、デジタル系がフロント側、アナログ系がリア側と場所わけされている。同じく半透明のES基盤である。中央のやや金色のコンデンサーはシルミックコンデンサー。なお右下のオペアンプはヘッドホン端子駆動用である。大量のMUSEコンデンサーは、殆どがCXA8042の為のもの。


CXA8042Sが左右独立で各1つ乗っている。
カレントパルスDAC部分である。NTTの開発したMASH-DACをソニーなりに発展させた回路。手前にパルスDAコンバーターのシルク印刷があり、裏にはパルスDAコンバーターのCXD2562Qが装着されている。CXD2562Qは、電子スイッチを毎秒5000万回もの高速でON/OFFさせることで発生する一定電圧のパルス波形の密度で音楽信号を表現するDACで、微少レベル再現性に優れているといわれる方式でした。1チップに8DAC搭載しているLSIで、CDP-555ESJなどにも使用されていたが、本機ではそれにCXA8042Sを組み合わせることで、従来電圧出力だったDACを、電流出力DACとして、電源電圧の変動や電圧性のノイズの受け難くしている。CXD2562Q
から電圧として出力されるパルスをCXA8042Sで電流出力に置き換えて伝送しているわけである。CXD2562Qは、パルス信号を+/-に振り分けて送り出すので、必然的に出力はバランス出力になるが、それはCXA8042Sで電流変換された後に、続くオペアンプ群で作動合成されている。


三菱のM5238、AD712、OP27の3つのオペアンプによる回路。OP27はサーボ用、M5238はIV変換用として使われている。手前のコンデンサーもシルミックコンデンサーで50V220μF。


OP27と2SK246
サーボ回路を構成している。


出力端子には、密閉型リレーが使用されている。金属風に見える手前の板は、プラスチック製で強度はあまりない。


脚は偏芯しており凝っている様に見えるが、実は単なるプラスチック製で非常に軽量。安っぽい。CDP-X333ESでももう少し良い脚が採用されているのに・・・。


底板は1.5キロ。20本近いビスで固定され、鳴きは殆ど無い。


底からの眺め。
重量の大きなドライブ部分を動かすため、大比率のプーリーが使用されている。右下にヘッドホンと可変出力用のモーター駆動可能なボリュームが見えるが、ボリューム本体は非常に安っぽいもので、ラジカセレベルの製品である。本機の可変出力は使用しない方が良い。

 


先に紹介したパルスDAコンバーター


こちらはデジタルフィルター関連のIC
右側のものは、品番が読み取れなかった。


半透明のES基盤。汎用のグラスエポキシ基盤と何が違うのは不明。
裏から見ると表のパーツが透けてみえる。
CDP-555ESDTA-F555ESLなどに使用された。


ドライブを駆動するモーターには、ゴム製のカバーが被せてある。


寸法の比較。
555ESDより長く、555ESJより長い。


操作系はSONYは統一性がない。
年代ごとにバラバラ。本機では10キーが復活したが、少し押しにくい。ルックスは悪いが555ESDが意外と使いやすい。

後継機種は CDP-XA50ES。デジタルフィルターの処理パターンを選択して、音を変える機能が付いたことや、光ピックアップの固定方法が強固になったこと、10キーの省略、ジョグダイヤルの採用などが主な変更点です。

音や当時の批評などは、後ほどアップします。

 
 
 

 

 

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