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ONKYO D-500U

最終更新日  2009年2月4日


1989年に発売されたD-500 Liverpoolの改良バージョン。
D-200→D-200Uのように各部分のマイナーチェンジもされているが、
D-500との大きな差として独特のバス・トランスミッションシステムの搭載があります。

標準価格43000円(1台;税別)
スピーカースタンド AS-500H 2台一組 40000円(税別)

18センチピュアクロスカーボンウーハー
2.5センチ超硬度チタンドームオーバルダイヤフラム

外形寸法 幅255×高さ449×奥行300mm とD-500と変わらず、
バス・トランスミッションシステムの分、内容積は少なくなっています。
重量12キロ

重量は500グラム重くなり、1700円高くなった。

 


バッフル面は、凹凸のあるシートが貼ってある。

 


SX-F3とのサイズ比較


2ウエイであるが、コンパクトスピーカーとは そろそろ呼ぶのが難しいサイズである。


ウーハーユニットは、元になったD-500とあまり変更がないように見えるが、エッジや振動板、ボイスコイルなど細かく変更され、軽量化されている。具体的には振動板は15%、エッジは15%、ボイスコイルは22%軽量化された。

エッジは新開発のものですが、D-500と比較すると多少丈夫ですが、保存状態の悪い製品だとボロボロに朽ちてしまうようです。振動板はカーボン繊維を織り込んで、エポキシ樹脂で固めた、ピュアクロスカーボンを採用している。


フレームはプレスフレーム。正面から見えるフレームはプラスチックフレームに化粧板を貼ったもの。Wマグネットによる防磁式磁気回路。マグネットのサイズは不明。


ONKYOはこの直後からクロスカーボンの採用をやめて、ホヤの繊維を利用したバイオクロスカーボンを振動板の材質に使用するようになります。センターキャップ後方のエア抜きの為に、振動板に穴が開けられている。


ユニットの品番はW-1811A
50W 5オーム


ツイーターは、D-200Uと同じように、チタンの表面に硬化処理をしたものを使用しています。D-200Uと同じように高域のピークを分散するようなテクニックが使用されていますが、D-200Uが、外周の一部をカットすることによってそれを達成したのに対して、一歩進んで、オーバル形状に連続的に立体構造を変化させることにより、それを達成した。つまり周辺部では円形であるが、中心に行くにしたがって楕円になる構造。
D-77XGのツイーターと同じ構造の振動板です。


エッジはロールエッジ
ボイルコイルは最軽量アルミ。エッジワイズ巻き


ウーハーと同じように、正面から見える部分は、プラスチックフレームに化粧板を貼ったもの


品番はTW-3117A
50W 5オーム


スピーカーターミナルは大型で使い易い。
ターミナルの下に見える横長の穴が、バス・トランスミッションシステムの開口部

 


ターミナルはプラスチック製


スピーカーケーブルは、粘着性の素材でエア漏れ処理をされて、バス・トランスミッションシステムの隔壁を貫通している。

バス・トランスミッションシステムは、バスレフ方式の一種であるが、動作としては音響迷路にも近いと思う。ポートに耳を近づけると、中音も結構漏れてくる。


バッフルは、ユニットのフレームの厚みだけ、削り込まれている。


ネットワークは、底板にウーハ用、側面にツイーター用が分散配置されている。


吸音材は、極少。
キャビネット内部の定状波の発生を防止するために、帯状のフェルトが、3次元的な固定で使用されている。


ツイーター用のネットワーク回路
コイル×1
電解コンデンサー×1
フィルムコンデンサー×2
抵抗×2


ウーハー用のネットワーク回路
コイル×2
電解コンデンサー×2
抵抗×2
フィルムコンデンサー×1 という複雑な構成

1990年11月号のステレオ誌において、福田雅光氏が以下のようにコメントされています。
タイトなサウンドプロポーションと高解像度を軸とした再現性が特徴である。鮮明、ストレート、芯や音像の骨格を強く再現。インパクトでの反応のよさはすばらしいものがある。性格は明るいクリアな雰囲気が特色である。ボーカル系のしなやかな味、低域の柔らかなボリューム、質感の自然さを狙うよりもスピーディーはアクション、切れの良いリズム感を求めると進化を発揮しやすいだろう。このサイズについては低域の肉付けがどうも浅い。非常にタイトに絞られていて、硬質に決まって押されてくるような感じがします。

2ウエイにありがちな、中域の中だるみがなく、むしろ中域を張らしたような響きを持っています、その中域は大変軽くてボーカルの帯域がブリリアントな響きを持っています。低域はあまり伸びておらず、量も欲張っていない。全体にきりっとひきしまった音調です。中域を中心とした鳴りっぷりの良さがあり、音の厚みを出して雰囲気を出すようなタイプではない。もう少し雰囲気があってよいかもしれない。(藤岡)

1990年6月のSTEREO誌で、江川三郎氏が以下のようにコメントされています。
マークUになったので前作の音をベースに聞いてしまうが、これは別物といってよいほどの優れた設計だ。明るく歯切れの良い音源の資質をしっかりと表現してくれる。一聴の価値あり。

1990年6月のSTEREO誌では以下のような記載があった。
元々ゆったりとしたヨーロッパ調を感じさせるもので、リバプールの名に相応しい鳴りっぷりであったが、メリハリ感を強調するために、中〜高域を強めにしていた。このへんがマークUになって更にその印象を強めている。低域もその豊かさはマークUの方が優れているが、オリジナルのD-500も結構伸びやかで、ローエンドの音色には、いくらか甘さを残していた。500はより強化されて500Uになったというころなのだろう。低域の量感が豊かになった分だけ、中低域の解像度に良さを持っている。、ともにどこをポイントにするかで評価が変わり、オリジナルのD-500を好む方もいるだろう。好き嫌いが分かれる。

1990年7月のSTEREO誌では入江氏が以下のようにコメントしている。
音は確かに軽快さがある。低域の歯切れだとか、躍動感も前作より良くなっているし、低域から高域までの音のつながりも優れている。高域にわずかにスパイスの味付けがあるが、ピアノではスカッと立ち上がってくれるし、響きの感じもなかなか良いのだ。パーカッションも良好。ボーカルも爽やかで、滑らかに歌ってベースの分解能もよく、楽しいサウンドを聞くことが出来る。


簡単に試聴。まずは机の上において試聴した。このサイズのスピーカーを机の上に置く人も少ないと思うが、D-200Uのときと同じように、ツイーター優位の現代的なサウンドであったが、D-200Uと同じで、おそらくセッティングでかなり印象が違うサウンドが聴けると思う。 ふっくらゆったりサウンドではない。 このサイズにしては低音が出ない印象。しばらく所有していたが、こりゃどうも使いこなしで何とかなるレベルじゃないように感じたので転売した。

 

 

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