オーディオ解体新書>KENWOOD KA-990V
KENWOOD KA-990V最終更新日
2006年4月8日
|
1985年発売 79800円 110W+110W 130W(6オーム) SONY TA-F333ESX が発売されるまでは 同クラスで圧倒的な人気を誇っていた。KA-990→KA-990SD→KA-990Vという系譜になるが 前modelのKA-990SDとはデザインこそ似ているがサイズも異なり別のmodelと考えるべきとされている。 |
トランスは角型ケース(120×110×105mm)に収められていてコアサイズ不明だが、当時のオンキョーやDENON・YAMAHAより明らかに巨大で容量は295VA。電解コンデンサーは直径40ミリ高さ90ミリのものが4本装着されている。この価格帯で電解コンデンサー4本というのも当時異例だった。容量は71V10000μFが2本、42V10000μFが2本という内訳である。 正面パネルのつまみ類は無垢ではなくプラスチック製。ボリュームはアルミとプラスチックの組み合わせて40gある。 足は4本足でプラスチック製で7gと軽量。 回路的にはKA−990SD(1984年発売)という前モデルにVIG(ヴォルテージ・インターフェイス・ゲート)という回路を加えたもの。スピーカーのコイルからの逆起電力による影響力を取り除くというもので、直流出力に含まれるリップルや混変調歪などを低減させる効果があり、したがって電源インピーダンスが下がり、等価的に大容量電源を採用したのと同等の効果があるとのことであった。 底板は取り外し可能で、メインの基板へのアクセスも容易 またメインのアンプ回路は Super DLD (ダイナミック ・リニア・ドライブ) という回路が特徴で 大出力のアンプと小出力のアップがあり、それを組み合わせて動作させている。信号入力の小さいときは小出力のアンプの方が有利というのがその理由らしい。いわゆる擬似A級アンプとは違う感じ。 L−02Aで開発された回路と聞いている。またΣドライブ は スピーカー端子までをNFループに取り込むという形で搭載されている。 出力素子は 2SC2921/A1215シングル サンケン LAPT+2SC2579/A1104シングル サンケン(DLD) となっている。 プリ基板などもキチンとシールドされており内部は当時のアンプとしては非常にすっきりして高級感があった。当時のオンキョーやサンスイ・YAMAHA・DENONのアンプはシールド板が無く、色んな所に電線が這い回っていてゴチャゴチャした印象あったものでした。 当時流行しだしたCDダイレクトボタンを装備。これをオンにすると 音から雑味が消えてすっきりした感じになりました。(僅かな違いです) メイン基板はKENWOODの製品によくある あまり見栄えのよくない基板に銅箔コンデンサーを多用している。銅メッキはされていない。 パワーアンプの終段以外はすべて安定化電源が採用されており、PHONOイコライザー系にはトランスから専用の巻き線で電力が供給されている。 音はすっきりしてクリア。それでいて五月蝿くないいわゆるKENWOODサウンド。キャラクターも少ない。低音も強力。発熱はやや多い印象。 福田 雅光氏は以下のようなコメントを残されています。 高解像度ですっきりとワイドパターン。そして極めて強力な低域が特徴だ。ハイスピードであり、ピカイチの解像度になりそうである。低音のインパクトがまたすごい。足腰ががっしりそて瞬発力抜群。これまでにないきわめて新鮮なサウンドに思えた。PHONO入力もおまけではない。MCカードリッジで聴いてもクリアですっきりとした音像。解像度の高いサウンドが得られている。 また長岡鉄男氏はFMファン誌のダイナミックテストで以下のようなコメントを残しています。 ということです。(1985年 ダイナミックテスト大賞部門賞) ある日 片channelの音が出なくなり 処分した。当時はオークションなどはなくインターネットもまだ普及していなかった。保管しておいて修理すればよかったと悔やまれる1品です。発売当時大絶賛され バカ売れしました。後継機種は KA-990D(1986年発売)
|
オーディオ解体新書>KENWOOD KA-990V