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LHH300

1989年  15万円

搭載メカニズムやDACについては、他にも詳しいサイトがあるので、そちらを参照してください。

要はダイカストベースのスイングメカと、フィリップス製1ビットDACを採用して、濃厚〜ゆったり系のサウンドのプレーヤーです。勿論フィリップスのCDPの全てがゆったり系という訳ではなく、マイナーチェンジでハイスピード系サウンドになってしまったモデルも多いので、LHH300, LHH500, LHH700・・・・の、ゆったりサウンドは貴重のようです。

 


シンプルなデザインであるが、それゆえリモコン無しでは不便極まりない。


サーチボタンがない。
またインデックスボタンもない。

歌謡曲やロックなどでは、インデックスボタンを使用する事は無いと思うが、
クラシックなどでは、1曲30分なんていう曲もあり、インデックスは重宝する場面が無いわけではない。


FTSボタン・・・何の機能でしょうね・・・。


8センチCD用のトレイが欠品??


脚は立派に見えるが、プラスチック製で内部は空洞。
15万円するオーディオ機器にしては、あまりにも不誠実。


底板は鋼板で丈夫。
厚さは1-2ミリあるだろうか?


ダイカストシャシー

これは立派。型作成コストは、結構なモノだっただろう。


このシャシーは、LHH500とも共通である。
※LHH500は、銅鍍金して使用している。


ドライブメカ底面には、ピックアップコントロール用のLSIやモーターが装着されている。


お得意のサイドウッドならぬ、サイドダイカスト


天板も鋼板。丈夫だが特にダンプをしていないので、叩けば鳴く。


リアパネル。

15万円のプレーヤーにしては貧相。

59800円での通用するだろうねえ・・・。

ヒートシンク下の棒のようなものは、輸送時のピックアップ固定用具。


用途別に3枚の基板が見える。


別にフロント側には、表示コントロール用の基板もある。


スイングアーム式のピックアップ。
果たして優れたシステムだったのだろうか???

現代では、途絶えている。


スピンドルシャフト〜ピックアップ周囲の剛性は高そうだ。

ただしCDはAD(アナログレコード)のように、なんでもかんでもガッチリ固定すれば良いというものではない。サーボ無しでは全く読み取りが不能なので、レンズはサーボによって常に柔軟に動ける状態にされている。


電源トランスは1基だが、大型。


一番大きな電解コンデンサーは、ELNA製。
35V 6800μF
HI-FIと記載あるだけで、詳細不明。あまり高価なモノでは無さそうだ。


こっちは、ブラックゲートの25V 470μF
これは高い・・・。

レギュレターのヒートシンクは銅鍍金されている。


後部に突出するヒートシンクには、3つのレギュレターが結合されている。


2階に設置されているのはDAC基板。
4本の乳白色プラスチック支柱で固定されているが、
コンプライアンスを持った固定方法になっている。

右手の緑色基板は、デジタル信号処理基板。


左右独立でDACチップが搭載されている。
赤いコンデンサーは、全てELNAのセラファインコンデンサー。

ちなみにこの基板は、LHH500にも全く同じものが搭載されている。
LHH300がお買い得なのか、LHH500が手抜きなのか〜〜〜??


ビットストリーム方式D/Aコンバーターをディファレンシャル(差動)モードで動作させている。


Philips SAA7320 & Philips SAA7321 | Top
Philips developed their first Bitstream DAC, the SAA7320, with a digital filter circuit. This however was not utilized in any Marantz CD players. Their next Bitstream DAC, the SAA7321, featured 4x over sampling and secondary noise shape digital filter circuitry. This was used in the Philips LHH-300 and Philips LHH-500.
Marantz began seriously employing Bitstream DACs from the SAA7350, which incorporated a secondary noise shalping circuit. This DAC was used in conjuction with the newly developed custom made Philips 18-bit output and 8x over sampling digital filter SM5840FP in the Marantz CD-42, Marantz CD-52, Marantz CD-72 and Marantz CD-72a.

ノイズシェイパーは、2次 256倍。フィリップスのビットストリーム型DACの2世代目にあたるチップ。3世代目が有名なDAC7ということになる。


シフトレジスタ(74HC164)などが沢山使われている。
シリアル・パラレル変換回路???


デジタル出力用のミニ基板。


1階部分のアナログ出力回路。

無難なJRC5534Dを使ったオペアンプ回路。

無難すぎて・・・・面白くない。基板も安っぽいベークライト基板??
バスバーなども使用されていない。

セラファインやブラックゲートがなければ、5万円でも通用しそうだ。

ちなみにこの基板も、LHH500と完全に共通です。
(コンデンサーの種類と容量も全く同じです)

LHH500は側面にバランス出力用のトランスがあり、そこへの配線があるか〜無いか・・・だけが唯一の違いです。

 

音は詳細には評価していない。実はこの機種定番のドライブメカのトラブルがあり、修理後に転売した。

ダイカストのシャシーやサイドはネルは立派ですが、内部を見ると、所有する喜びに欠けるかな?


上級機種のLHH500(25万円)は、LHH300のシャシーを銅鍍金して、トランスをトロイダルに交換し
小型トランスによるバランス出力を付けただけのモデルです。
それだけの変更で、+10万円とは・・・・・

特にRCA出力で使用する場合では、
LHH500とLHH300の差は、

  • シャシーの銅メッキの有無

  • トランスが、EI型か、トロイダル型か?

  • 脚に樹脂が充填してあるか、いないか?

の、3点が違うだけです。
コンデンサーの種類や容量、
半導体の銘柄も同一です。

色々な機種を見てきましたが、このようなケースは初体験です。
※ LHH500も所有しており、分解済みです。


・・・・・では、LHH700も同じか????

それは違います。LHH700は搭載されているDACからして違うので、
LHH300とも、LHH500とも違います。

・・・・しかし、バランス回路用のトランスが乗った基板は、そのままLHH500と、全く共通だったりします。

  • LHH500 1989年 25万円
  • LHH700 1991年 33万円

3年前の下位機種の基板を、そのまま使うかな〜〜〜〜〜???
信じられない。

↓ LHH500の内部
DAC基板は撤去してあります。

LHH700と共通なのは、写真上側の側面に固定されている基板
(立方体のモノが変換トランス)


結局 LHH300とLHH700の部品を組み合わせると、LHH500が出来てしまうという
ある意味、凄く理にかなった???製品です。

 

 

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