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YAMAHA NS-021

知人宅で眠っていたのを発掘。
サイズ;330W×570H×325D
重量14.1キロ


白いコーンが印象的。
NS-10Mの上位機種(?)として発売されたものであろうか?資料が無く詳細は不明。
構造や使用されている素材を見ると、発売されたのは1970年代後半ではないかと想像している。

値段は37000円/本 程度だろう。ただし当時の銀行員の初任給は、たった11万円である。

全く資料がないので、色々検索すると、どうもNS-460というスピーカーのベースになった機種のようだ。NS-460と外観はそっくりで、サイズも完全に同一である。ウーハーの振動板は異なるが、外見上はツイーターは同一に見える。

参考までにNS-460のスペックを記載しておく
2ウエイ バフレフ型
ウーハー;25センチコーン型
ツイーター;6センチコーン型+ドーム複合型
周波数特性; 45-20000Hz
出力音圧レベル 93dB
インピーダンス 8オーム
クロスオーバー 1500Hz
外寸 328W×570H×325D
重量 15キロ
(1981年ごろのスピーカー)

このスピーカーの低音振動板をスプルースコーンにしたものが、NS-460のようだ。


NS-670とのサイズ比較。
3ウエイスピーカーである670よりサイズは大きい(奥行きが長い)
双方とも25センチウーハー

 


スピーカー端子はワンタッチ式。


側板と天板は15ミリ厚


振動板の直径は実測で約19センチ。
NS-10Mと同じ、白い紙製のコーンである。
20センチウーハーと思っていたら、どうやら25センチウーハーということらしい。直径25センチというと、このユニットの全幅と等しい。

 


振動板はカーブしておらず、ストレート

 


ユニットの品番は、JA-2521
鉄板プレスフレームだが、綺麗に塗装されている。


配線はタコ糸のようなもので、縛られている。
防振対策なのだろう。


マグネットのサイズは、直径110ミリ×20ミリである。


ツイーターの中心は、実測で直径2.5センチのハードドーム
素材は不明であるが、表面処理なしのチタンではないだろうか?
周囲に6センチのコーン型振動板を持つ複合型ユニットである。


コーン型振動板といっても、カールしており、外観はウーハーのエッジのようである。


フレームはプラスチック
品番はJA-0529
マグネットのサイズは、直径80ミリ×20ミリ


ウーハー下のポートは、10ミリ厚のパーチボードで製作されている。
ポートのサイズは断面が14.2センチ×4.5センチで、長さは15センチである。

ウーハーの面積は283.5平方センチ、ポートの断面積は63.9平方センチなので、ウーハーの22.5%の面積のポートということになる。

 


ネットワークは、MPコンデンサー×1、電解コンデンサー×1、コイル×2、オーソドックスな-12dBのネットワーク。銀色のコンデンサーはツイーター用で、外見からMPコンデンサーだろう。その右下の黒い電解コンデンサーがウーハー用の15μFのBPコンデンサーである。コイルは鉄心コア入りだろうが、容量の記載はなかった。


ウーハー用のコイル
上方に見えるのがツイーター用のコイル


NS-1000Mなどと同じ、日立製のOFCケーブルが使用されている。


アッテネーターは8オームと記載されている。NS-600などに使用されているアッテネーターと同じもの。ノーマルポジションがMAXの位置となる。

 


補強は以下のとおり
裏板に横に2本
側板に横に1本
バッフルはウーハーのツイーターの間、横に1本
天板と底板には補強材はないが、6面の接合部には全部隅木による補強が入っている。

吸音材はYAMAHAらしくグラスウールのみ。バフレフなので、バッフルを除く5面を軽く覆う量に留めてある。

 

試聴。

やせた音である。バフレフらしくない。スピーカーのサイズと出てくる音の乖離が著しく、酷い音だ。低音も出ない。使われていない時間が長かった(10年以上?)ので、ほぐれていないようである。3時間ほど鳴らしていたら、結構ゆったりした音が出るようになった。6時間鳴らした後に試聴した。

2ウエイとしては、かなり大きなサイズ。KENWOODの3WAY LS-11ESなどよりも明らかに大きなキャビネットである。大き目のポートから盛大に低音が再生されるかと思えば、そうではなかった。中域重視のスピーカーで高能率な設定。反面60Hz以下の再生は犠牲になっている。高能率で低い音を再生するなんて20万円のスピーカーでも無理だろう。ツイーターもアッテネーターMAXでの接続になっている。それゆえ、超低域や高域の伸びは無く、スパッと切り落としたようになっている。解像度はほどほどで、むしろなりっぷりの良い開放的なキャラクターでポップスやヒュージョンに向いている。音調はややソフト傾向があるが、ハイレンジにチタンドームによると思われる、粒立ちの良い切れがあり、良いアクセントになっている。スケール感などは今一歩であるが、躍動感は良い。クラシックやジャズには向いていないが、そう悪い感じはしない。ボーカルはイキイキとしてリアル。滑らかな女性ボーカルの特徴をうまく表現している。透明感やクリアさ、オーケストラの重さとかいう表現は苦手である。

好みの音ではなかったので、売却した。


専用スタンド(?)
高さは21センチしかない
天板が328W×282D
パーチボードとMDF製

最終更新日  2006年9月13日

 

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