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YAMAHA NS-600

最終更新日  2006年8月24日

密閉型3ウエイスピーカー

ツイーター:3センチドーム型ベリリウム振動板
スコーカー:10センチセミドーム型カーボネイトチタン振動板
ウーハー:30センチコーン型ピュアスプールパルプ振動板

重量24キロ
370W×665H×322D

オークションでウーハーのエッジが脱落しているジャンク品を購入.


バッフルは黒であるが、左右と天板はブラウン色である。 バルレロナ・ウオルナット仕上げと呼ばれる落ち着いた高級感のあるもの。
エンクロージュアは内容積50リットルの密閉型。パーチボードを使用し重量は24キロある。


この製品は、筆者がオーディオに興味を持つ前の製品なので、発売当時の詳しい状況などはわからない。おそらくNS-600→NS-500M→NS-500Maという流れになるのだろう。NS-500Mからウーハーはカーボン振動板になってしまうので、それが嫌な方はNS-600を選択すればよい。


スピーカー端子はワンタッチ式で、太いコードは使用できない.


ツイーター
3センチベリリウム振動板
今回このジャンク状態のNS-600を入手した目的はこのツイーターである.
詳細は後に記載する.


JA-0533
マグネットのサイズは直径70ミリ×15ミリ


割と素直な特性ですが、超高域は急降下です.


スコーカー
カーボネイトチタン製10センチセミドーム型振動板
カーボネイトチタンというのは、炭化チタンのことである。チタンの表面を炭化処理することで、硬度を2倍にアップすると共に、Qも低くなっている。
中央部分のドームはカーボネイトチタンに間違いないが、周囲のコーン形状の部分もカーボネイトチタンかどうかは不明.テクニクスやパイオニアなどでセミドーム型振動板を一体型でプレス加工した製品があるが、このユニットはコーンとドームを接着して作成されている.


マグネットのサイズは直径110ミリ×15ミリと巨大.振動板よりも大きい.
中央に息抜きの穴がある.ボイルコイルは大きなものが使用されている.
ユニットの品番は、JA-1210 .


スコーカーは、専用のキャビネットを持っている.
吸音材はグラスウール


スコーカーのキャビネットは、厚い紙パイプを20ミリの木材で蓋をした構造になっている.


30センチコーン型ピュアスプールパルプ振動板
NS-690と同じグランドピアノの響板を作るのに使用されるスプルース材からコーン紙を作り出している。振動板はパルプにしてはかなり硬い印象で剛性がある。コルげージョン入りである。
エッジは残念ながらウレタンが使用されておりご覧のようにボロボロになっていた。


フレームはダイカスト製


マグネットのサイズは直径120ミリ×20ミリ


アトネーターはNS-1000MやNS-1000Xとは異なり、少し安いパーツという印象がある.


吸音材は多量に使用されている.
ウーハー裏に写真左手の量、スコーカー裏に写真右手の量のグラスウールが充填されていた.

バッフルは30ミリ厚.他は20ミリ厚である.


補強はウーハー横に25ミリの木材が左右に入っている.
バッフルには、ウーハーとスコーカーの間に25ミリの補強材、スコーカー横にも縦に補強材が入っている.裏板には、ツイーターの裏付近に横に25ミリの補強材が入っている.またウーハーの抜き穴も貼り付けられている.またバッフルと裏板には、ざっと見ただけでも合計15ヶ所の隅木による補強がなされている.側板と底板・天板には一周する形でニードルフェルトが貼り付けられている.


スコーカー周りの補強の様子


ネットワークは、裏板のスコーカー裏に集中配置されている.
手前左がスコーカーのローカット、手前右がスコーカーのハイカット
左奥がウーハーのハイカット、右奥がツイーターのローカットである.


コンデンサーはニチコン製が使用されている.
電解コンデンサーにしてはデカイ
NS-1000Xにも、容量は異なるが、同じコンデンサーが使用されている.


スピーカー端子


スコーカーの18μFとウーハーの47μFは電解コンデンサーが使用されている.このほかにもアトネーターもあるが、上図では省略している.ツイーターはアトネーターMAXでの接続になる.
クロス周波数は、700Hzと6000Hzとなっている.

 

1981年冬号の別冊FMファンに福田雅光氏のコメントがありました。

ダンピングが効いた明快な低音と、透明度の高い、輪郭のシャープな中高域が特徴になる。低域が良く締まり、バスドラムは力強く、切れ上がりが良い。厚みがあるが分離が良く腰も強い。これはスプルースコーンの特徴ともいえるだろう。中高域は癖が少なく、解像度も高くきちんとし、ボーカル系も素直である。繊細で美しい粒立ちは、ツイーターのベリリウム振動板からくるようだ。ばねの効いたような低音の鳴りには好感が持て、割合伸びもあり、エネルギーは緩やかに低下していくような印象で、急速に伸びとまるようなタイプではない。ドライブの条件次第で、かなりローエンドのエネルギーは引き出せるだろう。音像定位は良好で、音をくっきり引き立たせるのも特徴である。アンプはかなり中低域に力があり、厚い描写力のある製品が良い。綺麗に仕上げただけの力のないアンプだと、このスピーカーの実力を出し切れないようだ。ミュージックはほぼオールマイティだが、特にジャズ系の骨太でくっきりしたベースが魅力である。

 


 


ツイーターは、NS-1000Xのものと比較すると、若干フレームの形状が異なるが、少し削るだけでNS-1000Xに装着可能である.振動板やネットなどは共通である.ボイスコイルはNS-1000Xのが純粋なコイルだけで構成されているのに対して、NS-600のものは筒状の紙にコイルが巻いてある構造になっている.ただしボイルコイルのサイズは同じなので、互換性はある.


全然違うのは磁気回路である.
NS-1000X(右)の8個の穴には、何か意味があるのだろうか?


フレームを研磨します.


なかなか鏡面にはなりません.


ツイーターの壊れたNS-1000Xに移植しました.
磁気回路はNS-1000Xのものを使用した.
移植したのは、ボイルコイル・フレーム・振動板である.

視聴しても違和感なし.動作も問題ないようです.


周波数特性を測定しても、NS-1000XのツイーターとNS-600+NS-1000Xのインチキツイーターとでは、差を認めなかった.
(赤; NS-1000Xのツイーター、 青; NS-600+NS-1000Xのインチキツイーター)
100〜700Hzのピークは、ノイズ

NS-600の残ったパーツですが、まだまだ使用できそうです.音もそう酷いとは思いません.十分現代でも通用するHI-FIサウンドです.セミドーム型のスコーカーもいい音が出ています.残ったパーツでスピーカーを作っても良さそうですね.


その後


壊れたNS-1000Xのツイーターの振動板がパリッと うまくフレームから外れました。
ということは NS-600のツイーターの振動板も綺麗に外れないかと・・・
綺麗に外れるなら、NS-1000Xのフレーム+マグネットにNS-600の振動板を移植でき、より自然な外観を得ることが出来ます。


はい 失敗しました。
ベリリウム振動板が割れてしまいました(涙)


あーあー なんてこった。

仕方ないので もう1個残っているNS-600のツイーターを加工。


今度は慎重に作業して、無理そうだったら諦める方針で・・・・・・・・

 

 

 

 

 

マイナスドライバーをエッジにひっかけ引き剥がすのですが、
勢いあまったマイナスドライバーがボイルコイルを一刀両断

速攻で破壊!!!

 

修復不能です。  ああ もったいない。

NS-600は解体ではなく破壊になってしまいました。

残ったパーツは転売しました。

 

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