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パイオニア S-99TX

最終更新日  2009年1月31日

1990年発売。 1988年発売のS-99TWINの後継機種であるが、細かいサイズが変更されている。正式にはS-99TWINXという名称。


S-77TWIN SDとの差であるが、まず幅はややスリムでその分背が高い。重量も段違いで40キロあります。外観がサランネット込みのデザインになったのも特徴。ルックスは良いが、音響力学的にはマイナスだろう。

方式:2ウェイ・3スピーカー・バスレフ方式・フロア型・防磁設計
使用ユニット 低域用:20cmコーン型×2 
高域用:3cmドーム型+W.F.ダイレクター
インピーダンス:6Ω
再生周波数帯域:29Hz〜22000Hz
出力音圧レベル:91dB/W/m
最大入力:180W(EIAJ)
クロスオーバー周波数:1800Hz
外形寸法:幅272×高さ1000×奥行380mm
重量:40.0kg

  重量
サイズ
価格
発売年
S-99TX 40kg
幅273×奥行380×高さ1000mm
236000円
1990
S-77TSD 29kg
幅270×奥行380×高さ960mm
120000円
1989

 

 


ユニットはフレームや振動板やエッジ、フレームを含めて共通点なし。
ツイーターのダイレーターも、S-77TSDとは硬さの違うのものが使用されている。


S-77TSDと異なり、裏板まで化粧板で処理されている。ウーハーユニット直後に、バフレフのダクトが配置される構造は一緒。


スピーカーターミナルも値段相応のものが採用されている。


パルプにアラミド繊維を混入した振動板を採用。磁気回路はアルニコ磁石を使用した内磁型。S-77TSDの振動板より、かなりfoが低い。

 


ツイーターのダイレーターは、S-77TSDより、横に広がった形状となった。

ツイーターの振動板は、同じセラミックグラファイトであるが、見た感じ 色や艶が異なる。

 

バーチカルツインのフロア型は、S-99Tが第一号であったが、本機はその改良型である。値段は10万円アップしたが、その価格上昇分の音質、音調の向上は間違いなく存在する。音としては限りなくS-1000Tに近い。

エンクロージャーの概観は、使用されている材質の関係もあって、価格相応だ。S-1000Tほどの豪華はない。とはいっても、音波制御のダイレーターは、バッフルのカーブに合わせた一体形成構造にしたり、フロントグリルの独自の曲線を持たせるなどの工夫がある。バッフルへの各ユニットの埋め込みも高度である。ツイーターの振動板はS-1000Tでも使用されたセラミック・グラファイトで、ウーハーは新開発アラミッド繊維混入のパルプコーンである。音調は本当にS-1000Tに近づいた。波面制御の効果だろう、音場が単に広がるだけでなく、整然としている。だから定位も旧モデルよりシャープである。また高域ユニットが、音の伸びや繊細感を表現している。固有音の発生も無い。中高域ついては確実に一皮剥けている。一方中域から低域については、旧モデルに似ているが、質感や分解能力は大幅に向上していて、中高域のクオリティーをしっかり支えている。雄大な中に荒削りではない繊細感がある。かつてこの価格帯は黄金の価格帯であった。本機の出現によって他メーカーが触発され再び活性化することを期待したい。(藤岡)

大変豊かな低域とスケール感があり、堂々とした鳴り方が総体的な魅力といえよう。ピークやディップも無く、F特性も伸びている。オーケストラは癖が無く、ダイナミックで、抑揚感も鮮やかなものだ。高域がいくらか強めであるが、このことが全体の銃身が低いにもかかわらず、音は重くならず、声楽を明瞭にさせ、ボーカルはハスキーなところを聴かせて、このスピーカーの持ち味にもなっている。ボーカルは声が中央に集まり、バックとの距離をつけて一歩前に踏み出してくる。センター定位やのびのびと空間に広がる音場性など、なかなか優れたところである。
S−99TはTXと似ているが、やや控えめで、オーケストラのフォルテで迫ってくる豊かさで、少し差がつく。また低域の迫力や透明感、中〜高域の解像度なども一歩譲る。声楽もやや散漫になり、音色的には細身になる。(石田)

大変豊かな中低域、低域方向も大変よく伸びています。中域周辺にも固有音は無い。大変優雅で、音のコントラストと躍動感に満ちている。ふくよかさもある。パワーを入れても出力応じた音圧がきちんと出てくる。そういったパワーバンドのよさが感じられる。バーチカルツインもここまで来たかという感じがします。(藤岡)

個人的にはS-1000TよりS-99TXの方が好きだという感じを持っているのですが、本当にバーチカルツインは完成度が高くなってきた印象がします。特に質感と純度の高さということが高次元で両立した、そしてまた解像度を含めた3つの要素が大変高レベルでバランスされているような感じがします。大変伸びやかで、滑らかで、ナチュラルな質感が出ています。パサパサしたり粉っぽかったりすることは全くありません。もうひとつ素晴らしいのは、低音の伸びやかさ。決して誇張感がないし、素直にゆったり流れ出てくるというあたりに、このスピーカーの完成度の高さを見せ付けさせられる思いがします。さらに要求すると高域のクオリティをもっと極めてほしい。S-5000Tと比較すると、低音の量感ではS-99TXの方があるものの、低域の解像度とか高域の解像度は、桁違いの差がついてしまう。


ステレオ誌1990年12月号で、YAMAHA NS-1000Mと対決する企画がありました。

  • NS-1000M セッティングはツイーターを内側に、スタンドの高さは30センチくらいが良い。高域が強めに感じるので、ツイーターのアッテネーターを10時半、1.5dBほど絞り込んだ。スピーカー端子の使い勝手の悪さには苦労する。出てくる音は明確かつ明瞭で、オルガンやコントラバスは、ローエンドがかなり低く、きちんと設計された密閉型の良さを大いに感じる。透明度の高い低域は大いに魅力的だ。声楽やソロのバイオリンの高域はスーと抜け、ベリリウムの持つ素材の良さ、反応の良さがうまく生かされ、キメの細かい表現だ。声楽のサ行は、強調される印象もあるが、聴こえ方は現代的だ。オーケストラのフォルテのエネルギー感や音の広がり、数多くの楽器が鳴る中で最前列の楽器までキッチリ分解される。ポピュラーボーカルも、ごく自然な定位感で、口が小さくなるとか、歌い手がほっそりする、というものとは違うのだが、実に快適である。同社からYST-1000というスーパーウーハーが発売されているが、それと組み合わせると、音色もレベルも自然につながり、見事な組み合わせになった。
  • S-99TX フロア型とはいえ、床との接点に工夫が必要。今回はコンクリート板(どぶ板)に載せ、四隅に滑り止めのブチルゴムを5ミリ角ほどにたたんでセットした。バイワイヤリングを試みると、音の差が非常に大きい。アンプが上質であるほど効果が大きいようだ。低域の音質が断然変わってきて、音場的な奥行き感、深みなどが増してくる。高域のつややかさ、滑らかさも一層増して、へばりつくような嫌らしさが吹っ切れて無くなる。オルガンとコントラバスのソースを聴いてみると、たった14センチの振動板だが、デュアル駆動の威力はたいしたもので、ローエンドはかなり低く、オルガンのペダルもかなり満足のいくものになっている。何とも中低域は厚い、ゆったりとした伸びやかさ、余裕感はS-1000Tゆずりで魅力的だ。声楽は音の定位感が非常に素晴らしい。前作のS-99Tでは、もう少しすっきりしなかったのが、本モデルは本当に真ん中にキチンと音が出てくる。左右にゆったりと音が広がり、音場性の良さは、前作よりはっきりとした進歩が感じられる。広い空間を感じさせる鳴り方は魅力的で、ソロバイオリンも空間にどんどん広がる。高域の音色が細くならず、鈍さもなく、艶やかである。ポピュラー系のウッドベースも魅力的で、量感がありゆったりとしているが、伸びやかで躍動感に繋がる。ボーカルは一歩前に踏み出し、センターモノラルで録音されたソースに対しては、その良さを存分に引き出す。YAMAHAのYST-1000を加えてみた。低域は確かに良く伸びるものの、1000Mの時のように劇的な変化というよりも、ごく自然に伸びたんだなという印象で、スーパーウーハーで補強しなくても、もともと99TXが、かなりの低音の再生能力を持っていることがわかる。トータルとして極端な音を出すことが無く、安心して聴けるスピーカーである。

まとめ
NS-1OOOMの音像感だが、システム全体がそれほど大型ではないので、標準的な音像感が得られる。一方S-99TXは、仮想同軸だけあってセンター定位はバッチリ決まってくるし、バッフル効果も抑える形状なので、奥行きや左右の広がりがなかなか優れている。音質は、大きく行ってクオリティ0には大きな差が無いが、音の傾向や雰囲気が大きく異なり、1000Mは音の輪郭をはっきり聴かせ、99TXはいくらか丸みを持ち、ゆったりした余裕があり、歪感やうるささがない。両機はまさに対照的と言えるだろう。

 

・・・・ということです。


 

内部の紹介も致しますが、もう少しお待ちください。また私自身まだ聞き込んでいないので、まだ音質についてはコメント出来ません。

 

 

 

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