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音質比較 スピーカー編

最終更新日  2009年2月4日

 

YAMAHA
NS-1000X

VS

PIONNER S-LH5

VS

D-55

PIONNER S-LH5は刺激のない音。分解して聴かせるのではなく渾然一体として再生。
刺激音が少なくやさしい音。人の声の温かみなどは優れている。解像度も決して悪くはないが、ガツン!とかドカン!!!というここ一発の刺激音というのはない。
音楽を聴くのは良いが目の覚めるような音とは無縁。部屋の空気が一変するような筋金入りの重低音はないが、いわゆる音として聴こえる低音の量感は十分あり しかもブーミーになるようなこともなくバランスが良い。能率は低いが 音量が上げればhi-fiに聴こえ、バランスも良い。透明感はそこそこ曇りガラスではないがアクリルという感じで中庸に感じる。 フラットバランスや解像度を期待する人には向かないスピーカー。個性があり聴く人を選ぶと思う。 女性ボーカルは大口になる。

YAMAHA NS−1000Xは中音や高音は非常にクリア。この辺はD-55に通じる物がある。S-LH5よりD-55に近い音だが、D-55よりやや控えめでバランスが良い。D-55はパワーの中心が中音に偏っているが NS-1000Xにはそれが無い。嫌味な音が出ず爽やかな音。ひたすらバランスが良い。ただS-LH5のように甘い音はしない。どちらかというとドライな感じ。キャビネットも剛性が高いので余分な音が出ず音場も広い。低音もゴリゴリとした感じでピラミッド型のがっしりした音。だがダッ!!という音が ダ という感じに聞こえ D-55に比べると鈍い低音のように感じる。とはいえクラシック系では問題ないだろう。パーカッションはやっぱりD-55かなあ・・・

 


 

PIONNER S-77TWIN SD

VS

NS-1000X


 

 

PIONNER S-77TWIN SD

たぶん S-LH5と同じ方が設計されたのではないでしょうか?2本のバフレフポートが効いてたっぷりとした低音です。S-LH5ほどは甘い音ではありませんが、NS-1000Xのように散乱するクリアな音というのは無く、まとまった落ち着いた音です。パーカッションやギターはこのスピーカーで聴くととつまらないですね。クラシック向きです。S-LH5とNS-1000Xの間の音・・・といっても実際はS-LH5に近い。低音は量感がたっぷりで量感がある。

NS-1000Xと比較すると 一聴してレンジが狭い印象を受ける。特に高音域への伸びが足りない感じで2ウエイの限界のようなものか?NS-1000Xが相当クリアで爽快な音なので それと比較するとそう感じるのも無理ないか・・・。

30HZくらいまでしっかり再生可能。試しにポートを塞ぐと低音の量感はガタ落ちになる。低音は量感があり40HZや60HZあたりを再生させるとNS-1000Xより高い音圧で再生できるが 音楽を再生してみるとゴリゴリといった筋金入りの低音ではなく ソフトな低音という印象だ。

女性ボーカルを再生すると かなりの領域をツイーターが再生している。刺激的な音は少なく、S-LH5ほどではないが 温かみのあるスピーカーと感じた。甘い音・・・とまでは行かない。叩きつけるような音の再生は苦手。非常にクリアで解像度が高くハードでダイナミックで爽快な音___という音を期待する人には向いていないスピーカーだ。パーっと散乱するような音も出ない。

音像が特別小さく定位するという感じは無い。音場感は悪くないが、特別広い印象も無いが、スピーカーが鳴っているという感じもあまり受けない。

CD CDP-555ESD
AMP AU-α707iの組み合わせ

 

10cmバックロード

VS

D-55

10cmバックロード 

低音があるように聴こえたが、100Hzより少し高い領域にピークがあり、それを錯覚したようだ。しかもコントロールが不足してブーミーな印象を受ける。
天板にてを当てると盛大に共振している。どうもキャビネットの剛性不足 重量不足があり、それでかなり音を悪くしている印象。側面や天板などは2枚重ねのほうが良いのかも知れない。
もちろん重低音は出ない。典型的なバフレフであるS-LH5にあらゆる面で低音は負けている。天板などにバラストを乗せると変わるかもしれない。
エコーの再生もS-LH5に負けるように感じた。写真の位置での試聴だったのでハンデはあると思う。

紙くさい音が中低音に付いてまわる。このスピーカーだけを聴いていたら、決して悪い印象を受けないのだが、なんか音がマスクされている・・・余計な音が混じっている。音もパワーの中心は中音にあるが、中低音のコモリの為クリアという感じはしない。アクリルではなくガラスのようにクリアだが 少し茶色く濁ったガラスという感じ。

吸音材を詰めると ボンツキはかなり抑えられるが まだ少しその傾向が残る。音がかなり制動が効きすぎた感じになり どちらがよいか今のところ判断がつかない。

D-55 

同じバックロードホーンということで 10cmバックロードとの違いが気になるが激しく違うのが透明感。非常にクリアで澄んだ音、敢えて言うとクリスタルか?根暗な音でもない。陽気な音というより素直にハードな音を言うべきか?音場もD-55が一番広い。サラウンドやエコーのエフェクトが入っているような感じを受ける。中音にキャラクターも感じるのは事実だが、一番生々しい音が聴こえる。エコーの再生もすばらしい。

重低音もレベルは低いが聞き取れる。80-100HZの低音の量感がもう少しほしいが現状でもガッシリした音である。骨太な音というまでには至らないが・・・・10cmバックロードホーンとは 似たようなキャラクターの音がする部分もあるが全体的にはまったく別物の音がします。

パーカッションなどの打楽器は最高。アコースティックギターなども良い。他のスピーカーではボー・・・ボー・・・と聞こえる低音でも ボーン ボーンと聞こえる。

決定的な欠点は長時間聞くのは辛いスピーカーだということ。長時間大音量で聴くと 耳から血が出そう・・・・クラシックには向かない。

 

SONY
SS-A5

VS

YAMAHA
NS-1000X

一聴してNS-1000Xのワイドレンジ、スカッと抜けの良いサウンドが印象的。それと比較するとSS-A5はナローな印象がするのは否めない。ただNS-1000Xは100Hz以下の低音と高音の両端にパワーが寄ったサウンドに聴こえる。D-55との比較でクラシックを中心に聴いた時はそうは思わなかったが、歌謡曲などは元々ソース自体がドンシャリ傾向でFレンジ的に両端を強調しているので、なおのこと、そのように感じるのだろう。そういったソースは長時間聴くのはサ行が立つようで聴き疲れする。NS-1000Xの中域は透明感があるが、女性ボーカルは透明感が勝ちすぎて、やや冷たく感じる。

SS-A5はやや低めの中音にパワーの中心があり、なるほど女性ボーカルも非常に素直に聴こえる。素直すぎて逆に拍子抜けするような感じである。透明感や音の分解能・抜けの良さなどはあまり無い。低音は柔かめで量感も程々でたっぷりした低音という感じではない。歌謡曲などは長時間聴いても疲れない。レンジが狭いのでラジカセの音と似たところもあるが、歪感の少なさや素直な描写というところは、やはりラジカセとは全く次元が違うが、中低音がこもったような感じがするのは仕方ない。キャビネットを積極的に共振させる設計であるから、高剛性に徹して余計な音をなくしたNS-1000Xと比較すると、細かい音が埋もれている印象がある。

AMP SUNSUI AU-α707L EXTRA
CD PIONNER PD-T06

 

 

PIONNER
S-LH5

VS

SONY
SS-A5

SS-A5を聴いてすぐに思ったのが、この組み合わせ。

久しぶりに聴くS-LH5は、高域もスーっとスムーズに伸び、弦の音もシルキーで美しい。低域も量感がありコントラバスも音の厚みも十分に表現できる。典型的なポートで低音をかせぐスピーカーでタイトなしまった低音ではない

SS-A5は、低音の厚みという点では、S-LH5に敵わない。チェロやコントラバスの音のボリュームの表現もそこそこである。元々S-LH5の低音が過剰演出ともいえる感じなので、S-LH5のさらに上をいくとバランスが悪過ぎるだろう。ヴァイオリンの音色もやや薄い感じにはなるが、トータルとしては、素直な表現ではある。FレンジそのものはS-LH5より狭く、もう少しその辺が欲しい気がする。大編成のクラシックの迫力といった点は表現ができていない。

さてSS-A5の売りである<声>の表現であるが、これは流石にSS-A5のほうが良い。SS-A5のボーカルは実に素直で、決して高解像度ではないが、声は良い意味でリアルに表現される。ヒステリックな音やサ行がきつく聴こえることは無い。S-LH5もかなり良い線を行っているが、声の演出というかオリジナルに色彩が加えられている印象を持つ。それが良い場面もあるだろうが、悪い場面もあるだろう。女性ボーカルは、実に優しく柔らかく表現されるが、5歳ほど年をとったような感じで聴こえる。よく言えばアダルトに聴こえる。悪く言えば鼻づまりに聴こえる。

ただSS-A5は、透明感とかクリアな音という表現とは無縁なスピーカーで、そういった要素は、まだ少ないながらもS-LH5のほうがある。もちろんそういった要素を追求するならNS-1000XやD-55のほうが圧倒的に優れているのであって、SS-A5にそれを求める方は居ないだろう。

嫁は 2つのスピーカーを聴いて SS-A5の方が好みと判断した。

蛇足だが、セッティングを簡単に変更出来るスピーカーのサイズとしては、この辺がベストであろう。NS-1000Xは重すぎて相当苦労する。D-55に至っては1人では不可能だ。またS-LH5のスピーカー端子は最高に使いやすい。他のメーカーも見習って欲しいもんだ。


ベートーヴェン:交響曲第5&7番  カルロス・クライバー


薬師丸ひろ子


hirose kohmi THE BEST Love Winters
広瀬香美

他にレーベル写真が入手できないCD数枚を使用した。
シューベルト未完成やモーツアルトのリンツ・プラハなど

AMP SUNSUI AU-α707L EXTRA
CD CDP-555ESD

ソース;クラシック大編成と女性ボーカル歌謡曲

 

 

D-55

VS

SONY
SS-A5

VS

PIONNER
S-LH5

もう性格がまったく違うスピーカーの対決

最近クラシックばかり聴いていたので、
フィンガーストリングを聴いてみた。


赤崎郁洋  Rapsodia

フィンガーピッキング・ギタリストの新星、赤崎郁洋のメジャー・デビュー作。アコースティック・ギター1本で演奏されているとは思えない、魅力と個性とテクニックにあふれた作品。



押尾コータロー Be HAPPY

予想はしていたが、SS-A5の音は酷い・・・。何だコレ?
ギターの胴の共鳴だけが目の前で鳴って、弦のはじくような音などは遥か2メートル後方で鳴っているようである。まったくソースとスピーカーが合っていない。かなり違和感を感じるが、10分も聴いていればそれもあまり気にならなくなるのは、人間の順応力のなせる業であろうか

S-LH5も似た傾向。SS-A5より若干マシではあるが、ギターのボ〜〜ンボ〜〜ンという共鳴音だけがやたら強調される。もともと低音がゆったりしたスピーカーだが、こういうパルス的な音は苦手。やっぱりSS-A5もS-LH5もクラシックなどが向いていますね。

そしてD-55
うーん やっぱりこういう音は、これが一番。実に生々しいが、歪感も感じずクリア。気持ちの良い音です。

AMP SUNSUI AU-α707L EXTRA
CD CDP-555ESD
ソース;フィンガーストリング

 

 

KENWOOD
LS-X9

VS

PIONNER
S-77TWIN SD

 

同じトールボーイ型。誰でも音質比較がしたくなるであろう。

LS-X9は、S-77TWIN SDと比較して以下のような感じである。ただし前もって言っておきたいのが、S-77は中庸なスピーカーで、どちらかというと大人しい音の、ややクラシック向きの製品である。それとの比較なので、その辺念頭においていて欲しい。


LS-X9;刺激的な音が全くでない。S-77もそうであったが、それよりも更に刺激的な音がでない。中音〜高音は控えめ。バイオリンの音の張りやピアノのtouchの表現も弱い。明らかにS-77よりマイルドなサウンド。そのためにスピーカーの存在を感じない。音場は広くスピーカーの外にまで展開する。そういった感じはS-77には少ない。S-77は上の写真のような状況で聴いている限りは、目を閉じてもスピーカーの位置を特定しやすい。

スケールは雄大で、この点もS-77を上回る。大編成のクラシックの”ドーン”という感じのフォルテッシモは、音の厚みも良好で非常に大きなスピーカーを鳴らしているような感じがでる。コントラバスの弦の動きなどもよく判る。S-77も割りとタップリした音を出し、厚みを感じるスピーカーであるが、LS-X9はその上を行っている。重量感も良好。NS-1000Xのようなゴリゴリした低音は無理だが、それに近い低音が出る。

一方チェロの高い音やヴァイオリン・ヴィオラの音などは、色気が抜けて淡白な感じで、生々しさという音色ではない。ピアニッシモも非常に静かになるので、ちょっと寂しい感じ。ジャスやロックで使用するシンバルの音などは遠くで聞く感じになる。女性ボーカルもアダルトな年増になるという感じではなく、油が抜けて淡く淡白になる。色気や艶は少なくなる傾向で、血の滴るような生々しい音の表現は出来ない。クリアではあるが散乱するような元気さは無い。とことん精米した米のようだ。純度が高いが、もう少し雑味も欲しくなる。歌謡曲などもバックの演奏のドラムなどが相対的に強調されてバランスが悪く感じる。

全体として歪み感は全くなく刺激的な音が出ないので、非常に穏やかに鳴る。音像は奥に展開され、前に音が張り出してくるタイプではない。クロスダイニーマ・クリスタルダイヤモンド・・・いわゆる新素材を使用したスピーカーであるが、それでもこれだけ静かなスピーカーが作れるという見本にはなるだろう。しっとりした音で、ああ・・・そういえばLS-G5000もこんな感じだったかなあ・・・と感じた。総じてAV向きのサウンド作りです。大画面プロジェクターなどと組み合わせると、画像とバランスが取れて良いと思います。

音のキャラクターとして、万能型ではないが、物足りないことはあっても、聴くに堪えないということはない。歪感も少なく大編成のクラシックをやや大きめの音量で流しながら、仕事をする・・・というような状況に似合っていると思う。スピーカーと対決して聴き入るタイプではない。ちなみにバイワイヤリングの端子のうち、上側だけ接続して試聴しても、かなりマトモな音を出している。下のクロスオーバーは150HZということであるが、50-60Hzくらいまでかなりの音量で再生されている。逆に下側の端子だけ接続すると、一応中音も低いレベルで再生はされるが、クラシックで言うとコントラバスの低音域の音だけがおもに再生される。ネットワークを見ても判るが 2ウエイ+スーパーウーハーの音作りである。


S-77 TWIN SDは LS-X9と比較すると若干陽気な音がするスピーカーである。バーチカルtwinを採用して、仮想同軸を形成して音場感にこだわっているようであるが、上の写真のような状況で聴く限りは、そんなに音場感に優れている印象を持たない。中音の張りだしもLS-X9よりあるが、クリアな透き通るような音ではない。音がパーと四方八方に発散する感じもない。低音は量感があるが筋金入りのゴリゴリした低音ではない。低音の感じはLS-X9のほうが力を感じる。非常にキャラクターの少ない無難なスピーカーという印象であるが、もう少し個性が欲しいような気もする。

 

AMP; SU-A900
CDP;DP-7040
ソース;クラシック大編成(ブラームス・ベートーベンシンフォニー)
女性ボーカル・吹奏楽など


 

CD CDP-X333ES
AMP TA-F555ESL (1回目の試聴)

CD CD-α717DR
AMP AU-α707L EXTRA(2回目の試聴)

NS-500M

VS

NS-1000X

NS-1000Xは、ネットワーク改造後で、しかもエイジング中でした。そのため中高音については比較せず。

低音やスケール感は、全然違いますね。NS-1000Xのゴリゴリした低音は、NS-500Mからは全然出ません。しかしチェロやビオラのふくよかな低音の響く感じはNS-500Mの方がいいですね。音の重心はNS-1000Xが低い。


NS-1000Xのネットワークの定数をノーマルの状態に戻して再度試聴を行った。(吸音材も純正のグラスウールに戻した)

NS-500MとNS-1000Xを比較すると、後者のほうが明かにFレンジが広い。ツイーターなども振動板は同じであるがマグネットのサイズの違いか?キャビネットの差がそうさせるのか、高域もNS-1000Xの方がよく伸びている。低域も前述のようにNS-1000Xが勝っている。

ではNS-500Mの音が駄目かというとそうではなく、音の質としてはNS-1000Xに決して劣らないものを持っている。ただキャビネットの剛性が全然違うので、NS-500Mは少し箱鳴りがあり、少しピントがボケるような感じがある。それが中低域のふくよかさにも役立っており、チェロや木管楽器などはNS-500Mの方が良い感じで鳴ってくれる。クラシックや女性ボーカルなどはNS-500Mの方が少し甘い感じが出るので音楽にあっている。NS-1000Xは余計な音が出ないので音の立ち上がりや見通しがよいのだが、ソースによってはそれが少しスッキリしすぎて音が寂しいような感じになることがある。大音量ならNS-1000Xであるが、通常の家庭の音量ならNS-500Mの方が音楽の表情が豊かで無機的にならず良いように思う。

定価で約3倍くらいの差があるが、音は全くそこまでの差はない。基本的に双方ともヤマハトーンではあるが、NS-500Mの方が親しみやすい音調であり、目隠しをして試聴させれば、ソースや音量にも依るだろうが、半数くらいの方はNS-500Mの方が好きだと答えると思う。NS-1000Xの方が高解像度であり、音の純度が高く、整然とした感じで高いスピーカーなんだなという印象を受けはするが、ではそれが楽しい音かというと意見が分かれるであろう。NS-500Mは音の表情がやさしく好感が持てる。限られたコストの中で上手い音作りがなされており、NS-500Mの方が良い音だと感じる人も多いだろう。

 

 

VICTOR
SX-7U

VS

YAMAHA
NS-500M

SX-7UはNS-500Mと比較すると若干落ち着いた感じである。ハイエンドもそれほど伸びていない。低音のパワーや豊かさもNS-500Mに今一歩かなわない。したがってFレンジはNS-500Mと比較すると狭い。弦などは良く言えばシルキーで耳当たりの良い無難な表現で、悪く言えば生気の抜けかけた力のない感じになる。得意とされているクラシックもあれこれCDを5-6枚聴いてみたが、確かに刺激が少ない優しい再生音であるが、あっさりした淡白な音である。
  全体的に響きがデット気味で、きらびやかな音やブリリアントな音の表現は苦手。また直接音と間接音のバランスもやや直接音に偏っている印象。音場の表現も希薄で、いろいろな点で期待していたが、正直鳴らしてみてガッカリした。もう少し響きや艶を出すか、さもなくば柔らかさや弾力感が欲しかった。この時代のスピーカーのレベルがこの程度なのか、それともスピーカーが劣化してこの程度になっているかは不明。聴いていてそれほど酷い音ではなく、嫌な音も出ないのだが、NS-500Mと切り替えて試聴すると上記のようにいろいろな点で差を感じる。大編成のクラシックでの再生では、Fレンジの狭さの他には、劣る点は感じず、弦や木管などの中域の表現も素朴で誇張がなく好感が持てる。女性ボーカルは油が抜けたような感じで色気不足で、ダイエットしすぎてカサカサになった娘のようである。パーカッションなどもNS-500Mのほうが良い。

NS-500Mは若干ヤマハらしいキラキラ感があるスピーカーであるが、中低域に若干ふくよかな響きもあり、それが中高域の音色と上手くバランスいて、自己主張の強すぎないギリギリのラインで踏みとどまっている。がっしりした低音の表現はNS-1000Xに格段の差をつけられるが、SX-7Uよりは優れている。割としっかりした低音をベースに、す〜と伸びた高解像度の中高域が構築される。私の印象はNS-600のページで福田氏が書かれているコメントと、おおむね同じである。余り期待せず入手したスピーカーであるが、ずいぶんとお買い得であった。
  このスピーカーのMIDのユニットは、こうやって様々なソースを聞いてみると意外と出物で、実にきれいな音を出している。炭化チタンのセミドーム型であるが、振動板はコーン部分と中心のドーム部分が一体プレス加工され、マグネットも巨大である。ユニットの裏側にバックキャビティへの空気穴を持ち、そうなると必然的にボイスコイルも巨大である。5万円台のスピーカーのMIDは手抜きになりがちで、たとえばONKYO D-77およびD-77XのMIDはクロスカーボンコーンでマグネットは直径90ミリ×13ミリである。ダイヤトーンのDS-700Zは直径80ミリ×13ミリ+直径70ミリ×10ミリだった。NS-500MのMIDは直径110ミリ×15
ミリである。

CD CD-α717DR
AMP AU-α707L EXTRA

 

ONKYO
D-200U

VS

VICTOR
SX-F3

 

 

 

机の上において試聴(至近距離)
通常の距離での試聴は下を参照。

印象派のSX-F3、写実派のD-200U。

SX-F3はふくよかな中低音と耳あたりの良い弾力性のある中音が特徴。中域は響きがよく、ふわ〜〜〜と言う感じで、まさに<鳴る>という言葉が相応しい。高域はあまり延びておらず、見通しは今ひとつ。どちらかというと空間を満たすような音楽の表現で、独特な描写のスピーカーです。一言で言うとやさしい音ですね。低域への伸びも今ひとつで、Fレンジは欲張っていません。非常に中音の響きを重視した製品です。

D-200Uは割りと低い領域まで低音が伸びている。FレンジはSX-F3より明らかに広いが、バランスとして高域が勝っている。高域ははス〜〜とかなり高いところまで伸びています。随分精細な音が出て、空気感なども良く、クリアで透明感もあり見通しが良い。中域はあまり特徴がなく印象に残らない。無難な中域の表現というべきか?良くも悪くもこのスピーカーを特徴付けているのはツイーターです。解像度が高く、ツイーターの表現力は特筆に価するものだとは思いますが、Fレンジを無理に欲張って、しかも高域にパワーがよりすぎてしまったような感じのスピーカーのように思います。ギターなどは弦の音が主体で、胴体が共鳴する響きの表現がさびしく、色気がありません。もう少し 暖かい柔らかい音が出るスピーカーと思っていたのですが・・・・失敗?

私の好みからは言うとSX-F3の方が好きですね。色々スピーカーを所有しましたが、1台だけ残して他を捨てろといわれたら、SX-F3を選びます。

音源 PC内のオーディオファイル(無圧縮)SE-90PCI.使用
アンプ ONKYO A-919

 

VICTOR
SX-F3

VS

LS-SE7

両者とも超低音の再生は当然ムリだけど、中低域の再生はナカナカ頑張ってくれている。ただLS-SE7は一寸ボンボン言っているようで、締りが無い。またその上の周波数帯域では、LS-SE7は一転して少しドライな感じで、音の厚みが控えめになる。また高域は嫌味にならない程度のスパイスが効いている。これはLS-SE7がどうこう・・・というより、ケンウッドサウンドなのかな〜とも思う。フルートなどは音が細くなり、金管楽器も痩せた音になって安っぽい軽い音がする。オーケストラなどの音の厚みも苦手のようだ。

SX-F3はLS-SE7に似たところもあるが、中域の音が暖かく、あっさりした表現にはならない。逆にSX-F3の音が重すぎると感じる人もいるかもしれない。

音源 PC内のオーディオファイル(無圧縮)SE-90PCI.使用
アンプ 鎌ベイアンプ

 

ONKYO
D-200U

VS

PIONNER
S-77TWIN SD

やや特殊な環境で試聴した。
上記写真を参照のこと

S-77TWIN SDは
改造済み

似たもの同士の2台
名誉挽回のD-200 U

D-200 Uは名誉挽回。いいですね。バランスが良い。上の試聴では、スピーカーから距離を取らずに試聴したので、あまりよろしくない結果になりましたが、今度は2メートルの距離を取って試聴。至近距離で気になった、ツイーターが勝ちすぎる印象は払拭され、ウーハーとのバランスが絶妙。中低域の厚も感じることが出来、弾力的で暖かい印象さえある。前回とはインプレッションが完全に一転した。S-77TWIN SDとの差は少ない。ボーカルなどはむしろD-200Uの方が、ユニット間の距離が短いためか、まとまりが良い。低音の表現力はやはりフロア型のS-77TWIN SDには適わないが、普通に聴いている分にはそれほど気にならない。時々低音成分の多いパートにさしかかると、その差を感じる程度である。高域の伸びはD-200Uの方が良い。サラリと高い領域まで伸びているが、僅かなキャラクターが残っている感じがするのが残念。

S-77TWIN SDは、同じ2WAYとはいっても、重量で4倍近い差があるスピーカーである。D-200Uには圧勝かと思われたが、苦戦した。S-77TWIN SDもセラミックカーボン振動板で、スペック上は40kHzまで再生できるはずであるが、試聴ではそういう印象は無かった。中域はバーチカルツインの良さが出るかと思えば、また2メートルという距離はこのスピーカーにとって近すぎるのだろうか?LS-X9との比較試聴のときにも感じたが、音場感や細かいニュアンスの表現はD-200Uに負ける感じだ。さすがに中低域から低域の表現力は、S-77TWIN SDが勝っている。

なお全体的な音色の印象は双方非常によく似ており、同じ方向性のスピーカーである。Fレンジもやや高域に伸びたD-200Uと低域に伸びたS-77TWIN SDという違いがあるが、どちらかが極端にワイドであるとか、ナローであるという印象はない。大編成クラシックならS-77TWIN SD の方が良いかも知れないし、高域のキャラが気にならなければ小編成のクラシックは断然D-200Uであるが、音色が非常に似た方向であるので、ここにこの2台のスピーカーを置いて、切り替えて楽しむというほどの差異には達していない。切り替えて楽しむなら、もう少しキャラクターの違ったスピーカーの方が面白い。KENWOODのLS-11ESとかB&Wの805S、長岡鉄男氏のD-101Sとかなら面白いだろう。

 

 

音源 PC内のオーディオファイル(無圧縮)SE-90PCI.使用
アンプ SU-A900

 

ONKYO
D-200U

VS

YAMAHA
NS-500M

これも
やや特殊な環境で試聴した。
NS-500Mの天板の上に
D-200Uを乗せて試聴

やっぱり3ウエイ?
NS-500M最期の試聴
D-200Uは嫁入り

D-200 U、いいですね。アンプかCD-Pの組み合わせの為か?今までの試聴のなかで一番マイルドに聴こえます。低音も弾力的で高域は刺激的な音はほとんど出ずサラリと・・・・・。床からは1メートル20センチほど離れているし、壁からは2メートルほど距離があるので、低音の再生は厳しいはずなのですが、AU-α707L EXTRAのパワーによるものか?低域も弾力的で量感がある。音のバランスとしては低域が勝っている。机の上においてSX-F3と比較試聴したときとは、とても同じスピーカーとは思えない。それだけ接続機器や部屋の影響を受けやすいということだろうか?。キツイ音というよりマイルドな音で、優しい感じさえあるが、中低域はふくらみ気味で解像度という点では今ひとつ。音量を上げると、その傾向が強くなる。オーケストラのコントラバスの弦の感じはそれなりに表現はできるが、もちろん限界がある。この後D-200Uは知人宅に嫁入りしてしまう。知人宅でYAMAHA NS-10Mと対決し、対決に負けた方が帰ってくる予定である。さてどうなるか・・・

YAMAHA NS-500Mは、嫁ぎ先が決まったのでこれが最期の試聴。もともとバラバラに分解するつもりで購入したが、試聴してみると非常に良いスピーカーで驚いた。ONKYO D-77の発売される直前のスピーカーで、D-77の衝撃が大きかったので語られることが少なかった悲運のスピーカーかもしれない。その後継機のNS-500MaがそのD-77を迎撃したのであるが、セールスとしては苦労したようだ。私も店員からNS-500Maを熱心に勧められたが、気持ちはD-77やLS-990Aに向いていた。結局買えなかったが・・・。

話は元に戻るが、結局のところ バラバラに分解するのは余りにも忍びなく、そのまま転売することになった。NS-1000Xと一部オーバーラップする音色であり、手元においておくのはスペース上厳しいのが残念。

さてNS-500Mであるが、D-200Uと比較すると流石3ウエイ、Fレンジの広さが違う。最低域の表現力が違うのはいうまでもないが、高域のレンジもNS-500Mの方がずいぶん広い。500Mも中低域が少し膨らんでおり、多少ゆったりした感じもあるのだが、D-200Uと比較すると締まって聴こえる。中域もD-200Uほど甘くない。ダッシュ力、分解能に優れ、フルオーケストラなどはNS-500Mのほうが良い。反面女性ボーカルなどはFレンジもそれほど必要ないし、音源が小さくまとまりが良く暖かい音がするD-200Uの方が良いと感じた。ハイテンポの曲ならNS-500Mの方がいいかも知れないが、あいにく私は女性ボーカルはスローテンポのみが興味の対象なのであしからず。

 

CD CD-α717DR
AMP AU-α707L EXTRA

 

YAMAHA
NS-670

VS

SONY
SS-A5

これも
やや特殊な環境で試聴した。
NS-1000Xの天板の上に
SS-A5を乗せて試聴

まず鳴らして気づくのが能率の違い。NS-670は能率が低い。A-838のボリューム9時でも全く不足する。10-12時くらいが適音になる。NS-670はワイドレンジで、特に低域方向への表現は見事である。3ウエイとしてはコンパクトな部類になる670が能率を落とすことで、大型3ウエイと遜色ない低域の表現を可能としている。ウーハーの駆動力はマグネットサイズから言ってかなり強力と思うが、振動板もかなり重くしてfoを低めに取っているのだろう。

SS-A5は、一聴してレンジの狭さを感じる。しかしコンサートホールの客席で聴く音に近いエネルギーバランスである。オーディオではゾッとするような低音が再生されることがあるが、実際クラシックのコンサートでそのような思いをすることは稀である。忠実な再生と楽しめる再生とは違う。しかしSS-A5がスピーカーとして魅力が少ないかといえば これも違う。木管楽器などの色気などは、逆にゾッとするような印象を受ける。何気ない木管のパートだが、NS-670を含めた普通のスピーカーで聴くと特に何も感じないが、SS-A5で聴くとゾッとする・・・ことがある。バイオセルロースには少しキャラクターがあり(SS-A5Sでは解消されているとか・・・)、そのキャラクターが木管楽器の倍音成分と相乗効果を示して、実に美しい響きが出てくる。このスピーカーは各部分に極端なデッドニングがなされている。フェルトなどを使用して徹底的に余分な振動を殺してあるが、それでいてこのような美しい響きが出てくるのが不思議である。

NS-670は最近の私のお気に入りスピーカー(2006年9月現在)であった。コンパクトなくせに非常にワイドレンジで、またこういったFレンジを欲張ったスピーカーにありがちなキャラクター音や嫌な響きが一切ないからである。しかしこうやってSS-A5と比較して聴いて見ると、NS-670が普通のスピーカーに思えて、SS-A5の方が所有する喜びを感じるスピーカーと思える。

ただそれはソースにも依存すると思う。人工的なエコー効果をミキシングでたっぷり付加したソースに対しては、SS-A5は訳の判らない音になってしまうだろう。そういった場合にはやはりNS-670の方が良い。SS-A5がツボに嵌まる音楽ソースは限定される。

 

 

CD PD-T6
AMP A-838

 

YAMAHA
NS-670

VS

YAMAHA
NS-690U

(吸音材減量してます)

NS-670は紹介ページを見てもらうと判ると思うが、まさにNS-690の縮小版といえる。(※ミニチュアではないのがミソ) 音もそっくりかと思ったら、案外違いがあり驚いた。まず能率が違う。NS-670はだいぶ能率が低い。

ツイーターは同じユニットで高域の表現は同じである(正確に言うと若干振動板が改良されており、品番も違う)。超高域への伸びも差がない。

低域はキャビネットのサイズの大きなNS-690Uが圧倒的有利かと思いきや、NS-670もローエンドの表現や低音の締りなど見るべきものがあり、侮れない。タイトでスッキリしているが、かなり低い領域まで低音が伸びている。NS-690Uは中低域のふくよかさや量感、豊かさでNS-670に勝るが、やや中低音は膨らみ気味である。コントラバスの音を楽しみたいなら670であるが、チェロなら690Uだ。

中域であるが、NS-670のそれは、端整ですっきりして見通しが良いが、淡泊で、少し主張は弱くなる。それゆえ長時間聴いても疲れない音質であるが、響きの豊かさという点はもう一歩の表現が欲しくなる。NS-690Uは670と比較して、だいぶ明るい音調で、響きが豊かであるが、多少装飾があるような感じもあり、ソースによってはくどさも感じられる。いわゆるヤマハトーンに近いのは、NS-690Uの音である。

ピアノなどは、670が非常に真面目で実直な表現であるのに対して、690Uは右手方向に艶が乗る。木管楽器なども670はイブシ銀という感じであるが、690Uはより明瞭な現代的(?)な表現になるが、細かいニュアンスは690Uの方が良い。弦楽器は670の方がシルキーで私は好みだ。690Uはやや弦の音色が明るく賑やかになってしまう。

ギターなどはどちらのスピーカーとも向いていない。弦を指ではじく感じが今ひとつであり、また胴がぼ〜〜〜んと共鳴する感じは、響きがこもった感じになりやすくコントロールできていない。基本的に鮮烈な音などは苦手である。ガラスの玉が砕け散るような音は、もっと剛性があって重量があるスピーカーと比べると明らかに差が出る。

670と690Uは、明らかな価格の差があるのだが、音の質の差は無い。表現の仕方が違うだけで、どちらも素晴らしいスピーカーだと思う。NS-1000Xと比べると、低域は670の方が1000Xに近いし、中域は690Uの方が1000Xに近い。

ソースにもよるが、長時間聴くならNS-670の方が良い。能率を犠牲にする代わりに、かなりワイドレンジであるが、キャラクターが少なく、静かな音の表現なので、嫌味が無い。NS-690Uは音の表現の主張が670と比較するとやや強く(NS-1000Xはもっと強い)、ソースの選択を含めた使いこなしが必要だと思う。

ただ670は能率が低いので、SU-MA10でも、十分な音量、十分な音圧を得ようとすると、ボリュームの位置が12時とか1時になる。非力なアンプでは駄目だ。

690Uが良いスピーカーというのは実感できたが、NS-500Mと似たような部分もあり、このスピーカーならでは・・・という領域には至っていないように感じた。反面NS-670は個性的で、私が所有しているほかのスピーカーに無い表現力を持っており、改めて見直した。

※なおNS-690Uは、内部の吸音材を2/5くらいに減量している。またウーハーはオリジナルではなく、NS-1000Mのウーハーを一部加工して使用しているので、その点をご留意ください。中高音への影響は少ないとは思いますが・・・・

CD PD-T06
AMP SU-MA10
(アンプ内蔵のDACを使う、デジタルダイレクト入力で試聴。本当に低ノイズです。)

 

 

 

 

 

オーディオ解体新書>音質対決 スピーカー編