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Victor SX-7U

最終更新日  2006年9月12日

1980年ごろ  89800円(1台)
356W×633H×328D 重さ24キロ

系譜としては SX-7→SX-7U→SX-7Uカスタム→SX-10spirit となるのであろう。しばらく間をおいて SX-511が発売され、SX-521→SX-700spiritという血統になるかもしれません。


SX-7の継承モデルであるが、意外と共通点は少ない。ユニットの配置やキャビネットの仕上げは似てはいるが、細かくみるとまったく別のスピーカーといってよい。

ユニットの配置ひとつ取り上げてみても、SX-7からミリ単位で再検討が行われ、ツイーターの位置などは明らかに異なる。

 


ネットは丈夫で重い

 


太い木材と鋼板で形成されている。鋼板は音質的にはマイナスだろう

 


スピーカー端子
1.25スクエアのコードがやっと入るくらいである。 使い勝手は悪くないが、もっと太いケーブルが使用したいところである。インピーダンスは4オームという設定で珍しい。リヤバッフルの断面に注目。

 


クルトミューラー製の30センチコーン
振動板の5つの突起物は、コーンの剛性を高める補強
振動板の素材は SX-7より改良されており、ボイスコイルやマグネットも強化されている。金属製のネットは取り外せない。


アッテネーターはMAXの位置がノーマルポジション


古い製品であるが、バッフルは綺麗


7.5センチのソフトドーム スコーカー
ネジ6本での取り付け、フレームはダイカスト製

 


3センチのソフトドーム ツイーター
ツイーターは外そうとしたが、なぜか外れなかった。

 


スコーカー
フェライト磁石で マグネットのサイズは直径140×20ミリ厚と強力。これもSX-7から全面的に変更されたもので、振動板なども異なる。マグネットが巨大な割には、アッテネーターもMAXで接続で、能率も91dBなので、割と振動板が重いということなのだろう。


プレス加工された鋼板によるバックキャビティ
黒いものはブチルゴム・・・・ベトベトで手について最悪。メーカー純正とは思えないので、多分前オーナーによるものだろう。

スピーカー内部の配線は無酸素銅線が使用されているが、ご覧のように大変細いものが使用されている。


吸音材は、エステルウールが8枚 入っていた。特にキャビネットには固定されておらず、たたんで詰め込まれているだけであった。


断面を見てわかるように、針葉樹のランバーコアを使用した集合材で、ダグラスファー・ランバーコアと呼ばれていました。


スコーカーを取り外すと 4つのコイルが見える。
樹脂で固められており、しっかり固定されているが、同じ向きに固定されているので、相互干渉が心配である。

ではコンデンサーはどこにあるかというか・・・・


コンデンサーはウーハーの裏に固定されている。したがってコイル群とコンデンサー群の間には多数の配線が往来することになる。アッテネーターまであるので、スピーカー端子からユニットまで、相当の距離のコードになる。しかもコードはウーハーもツイーターも一緒に束ねられており、その辺でも相互干渉が心配。

ウーハー裏には ハの字型に補強材が設置してある。バイオリンなどに使用される響棒と同じ原理で、補強よりキャビネットを美しく響かせる役割を持っている。


コンデンサー群
電解コンデンサー3つ
λ(ラムダ)コンデンサー1つ
フィルムコンデンサー(茶色)が6個
フィルムコンデンサー(緑色)が1個
直接配線せずにプリント基板を使用している。(ハンダ付け)

個人的には 使用されている素子はともかく、素子のレイアウトやマウント方法は是非やり直したいように感じる。ウーハー用の電解コンデンサーもこの年代の製品ともなれば、かなり劣化しているだろう。しかしウーハーを取り外すことができないので作業は困難である。


ウーハーを裏から見る
ダイカストの丈夫なフレームを使用している。マグネットは直径156ミリ×20ミリ厚で、NS-1000Xのウーハーと同じサイズで強力。エッジは茶色で透過性のある材質のものが使用されている。
バッフルの補強は、ウーハーとスコーカーの間に、水平に一本入っているだけである。あとは隅木が所々に使用されている。


ツイーター 裏
アルニコではない。 マグネットのサイズは直径80ミリ×15ミリ厚


アッテネーター

ノーマルポジションがMAXの位置なので、バイパスさせても良いだろう。 少しガリが出ていた。

 


簡単に試聴しました。音はクラシック向けのやや根暗な音かと思いきや、ソフトドームという素材を使いながらそれなりにバランスの取れた中庸なサウンドです。奥行きの再現性は今ひとつで、音像はスピーカーと同一平面に展開する。低音の量感もあり、強力なマグネットによる音の立ち上がりも良いが、ゴリゴリといった岩盤を削り取るような底力がある低音は重量と比例する感じで今ひとつ。低音は割とソフトで淡白なという印象である。中高域はシルキーで嫌味のない音であり、キャラクターは無いが、油の乗った感じやツヤは少なく、あっさりした希薄な音という印象。膨らんだゆったりした音の傾向は少なく、スマートですっきりした音の傾向を持っている。もう少し個性的な音が出るかなと思ったが、意外と普通のスピーカーでした。もう少し中域の密度が欲しい。

このスピーカーに関する私の印象はこちらを参照


NS-500Mと比較試聴中

いろいろと試聴しましたが、期待はずれということで売却。

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