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マランツ PM-80a

最終更新日  2006年10月4日


1993年発売
454W×165H×380D
17.5キロ
75000円

1989年発売のPM-80(65000円)を小改良した製品。


このアンプはピュアクラスA駆動ができます。
○定格出力  
クラスAB 100W+100W(8Ω、20Hz〜20KHz)
クラスA 20W+20W(8Ω、20Hz〜20KHz)
○全高調波歪率  0.008%(8Ω、20Hz〜20KHz)
○出力帯域幅  10Hz〜50KHz
○周波数特性  10Hz〜100KHz
○ダンピングファクター  180
○入力感度  Phono(MM) 250μV/100Ω
          Phono(MC) 2.5mV/47kΩ
          HIGH LEVEL 150mV/33kΩ

サイドウッドならぬサイドダイカスト??は重量抜群で一枚2.1キロもある。音質的にも無視できない効果がありそう。逆を返せばこれだけで左右合計4キロ以上あり、アンプの正味の重量というのは15キロ以下ということになる。ヒートシンクは短いフィンのものが左右別に設置してある。正面パネルのつまみ類は無垢ではなくプラスチック製。

電源部はEIコアでサイズは普通。電解コンデンサーは2本。特にヒヨワな電源部というわけではないが、強力な電源部ではないのは間違いない。内部を見ると、KA-990Vと同じ価格帯ながらグレードダウンしたような印象を受ける。

A級動作をさせると(ボタンで切り替え可能)20Wの範囲のみA級動作となる。このときの発熱はかなり多い。上にCDプレーヤーなどを置くのは全く御勧めできない。

音は甘口。刺激的な音が出ずにクラシックや女性ボーカルに非常によく合う。ルックスも良いので気に入っていた。KA-990Vのように足腰ががっしりした低音ではなくやや弾力性のあるふわりとした低音だった。

電源部を少し強化して メインのアンプ基板からダイレクトにスピーカーケーブルを使用してリヤのスピーカー端子基板に配線をやり直したりして改造を施したが、ある日保護リレーが動作するようになり売却した。誰かに修理されて再び使われていれば良いのだが・・・・。

後継機種のPM−80AF(1995年;75000円)は出力段にMOS−FETが採用された。内部構造は同じで簡単には見分けが付かない。

PM-88シリーズは上位機種になるが、基本的な構造は80シリーズと同一で、銅メッキシャシーやトロイダルトランスなど、一部パーツの高品質化が図られている。後継機種ではなく併売されたモデルである。

PM-90(1994年 16万円)という製品もありますが、これは全くの別格のモデルです。


1993年のSOUND TOPS誌の夏号(季刊35号)に小林貢氏のコメントがありました。

普及クラスとしては珍しい純A級クラス・オペレーションを採用したモデルで、前作から外観的な大きな変化はないが、クオリティーは大幅に高まっていると予想される。・・・・というのは上級機のPM-90/99SEで採用された、プリ部・トーン部・パワー部の各アンプブロックを独立させて3アンプ構成として安定度を高めている。更に4連アクティブボリュームを採用して低出力時のSN比を大幅に改善しているからである。純A級動作で20W+20Wの出力を確保している。(中略)本機は価格からは信じられないナチュラルな質感を持ち、このクラスでは珍しい程の滑らかさや静けさ、繊細さといった表現力を身につけ、音場の表現力も非常に高い。スピーカーのドライブ能力も高く、低域にリアルなエネルギーを感じることができる。制動も効いている。十分な音質対策を施しながら、日本の製品によくある野暮な外観ではないことも好感が持てる。

 

 

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